おしえてせんせい

Q7.わたしよりその人ですか？ ページ7

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新学期を迎えるまで、わたしはバイトに勤しみ、オフは友達とプールに行ったり、たまには、先生に幻滅されないように数学の勉強をしたりした。先生には会えない日々が続いたけど、ゆびきりの件とか、花火大会のはなしもあったし、なんとなく寂しくはならなかった。

新学期の日も、もちろん誰よりもはやく学校にきて数学準備室にむかった。けど、先生がいなかった。トイレかな。いつもの席に腰掛けること１０分。ドアノブががちゃりと空いた。

「へ」
「あ、Aおはよう」

そこにいたのは、金澤先生なんだけど、金澤先生の後ろには見たことのないスーツの女の人。びっくりして声が出ないわたしに、先生は淡々と話した。

「教育実習で今日からお世話になる先生だよ」
「はじめまして」
「は、はじめまして」
「すみませんね、毎朝数学を教えてる生徒なんです。ごめんA、この実習生さん数学のひとだからさ、いろいろ教えるのにしばらく朝は無理かも」






先生に会えなかった夏休みより、きつい新学期生活１日目となった。まさか、毎朝の楽しみが教育実習生によって奪われることになろうとは…しかも金澤先生よりすこしちっちゃくて、金澤先生ほどじゃないけど可愛かった。

その後の朝会でも、教育実習生の紹介があったが、男子たちが嬉しそうにざわめくのを眺めていた。数学の先生になるらしいし、年の近い金澤先生がいろいろ頼られるに決まってる。まさか、こういう形でライバル出現なの？

わたしは、先生と眺めた花火や、いちご飴の味、２人の体勢などを思い返しながら、金澤先生に想いを馳せることしかできなかった。


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