Q16.だめになっていいですか? ページ16
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先生のあとを追ってたどり着いたのは、いつもの場所だった。図書室前の踊り場。
わたしは、なんとなく怖さを感じていた。だって、ここに着くまでのあいだ、先生何も喋ってくれないんだもん。怒られるようなことはしてないけど、そんな態度が出てるような気がして、わたしから第一声を発すことはできなかった。
先生は、踊り場についてお互い向き合う形になると、わたしの肩をがしっと掴んだ。心臓が高鳴る。
「A」
「は、はい」
「先生のこと好き…?」
わたしはそれを聞いて、思わず笑ってしまった。
「好きだよ」
「高橋より?」
「うん、好き」
先生、わたしがあんな告白されるからちょっと不安になっちゃったのかな。こういうとこあるんだ、可愛い。
「高橋に、ヤキモチやいた」
「わたしは、先生の言葉が嬉しかったよ」
そういうと、わたしの体がすこし先生に近づいた。先生がわたしを抱き寄せたからだ。
「え、せんせ、」
「静かにして」
肩を掴んでいた先生の手は、すこしずつわたしの背中に回っていく。先生に、抱きしめられてる。こんなに密着するのは初めてだった。
暖かい。わたしもおそるおそる、先生の体に手を回した。お互い抱きしめあう形になると、先生は自分の腕にぎゅっと力を込めた。
初めて先生に触れたのは、春だった。
数学準備室で朝の密会をしてた時期だ。座っているときに、先生の足とわたしの足が触れ合った。あのときのスーツの感触だけで、わたしはもうドキドキだったのに、いまはその感触を、頰や、手、全身で受け止めている。
「こういうのは、卒業までだめなんじゃなかったの」
「…我慢できんかった」
「先生、ドキドキしてわたしがだめになりそう」
「だめになっていいよ」
そういいながら、先生は私の頰に自分の手を重ねた。親指がそっとわたしの唇を撫でる。でも、キスはまだお預けっていうのはなんとなく分かってる。先生はその親指でわたしの唇を隠し、その上からそっとキスをした。なんだか、ゆっくりしてて、長くて、大人っぽいキスだった。
「なんか、見たことない先生だよ…」
「先生、すぐ妬いちゃうからさ」
「彼女がいたら、こうやっていちゃいちゃするの?」
「んー、Aが彼女になった時に確かめてみなよ」
先生の彼女になるためには、あと冬を越して卒業するだけだった。
先生を好きになって、もう半年以上が経ってるんだ。そして、両思いになってからも。
先生って、どうしてわたしのこと好きなんだろう?
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Q17.生徒Aの好きな所を述べよ→←Q15.声の主は誰ですか?
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遥乃。(プロフ) - miさん» いえいえ! 首を長ーくして待ってます! (2018年11月8日 0時) (レス) id: fb9388dbfe (このIDを非表示/違反報告)
mi(プロフ) - 遥乃。さん» 優しいお言葉ありがとうございます(T_T)自分のペースで更新していきます〜 (2018年11月7日 9時) (レス) id: 1f8135c296 (このIDを非表示/違反報告)
遥乃。(プロフ) - まぁ、盗作は論外ですが。 (2018年11月6日 1時) (レス) id: fb9388dbfe (このIDを非表示/違反報告)
遥乃。(プロフ) - miさん» 遅れるも何も、好きな小説を好きな時に好きなように書くサイトなんですから、気にしちゃダメですよーw 実際の小説家たちみたいに締め切り日があるわけでもないし。 (2018年11月6日 1時) (レス) id: fb9388dbfe (このIDを非表示/違反報告)
mi(プロフ) - 遥乃。さん» 遅れて本当にごめんなさい!待っててくださると嬉しいです〜〜!! (2018年11月4日 21時) (レス) id: 1f8135c296 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:未詞 | 作成日時:2018年6月25日 16時