Q15.声の主は誰ですか？ ページ15
.
「ちょっと待った！！！」
そのかけ声に、生徒や先生たちみんなが後ろを振り向く。期待してわたしも振り返ると、先生がその小さい体を主張するように挙手していた。
全校生徒にとってはかなりアツい展開になったみたいで、嬉しそうにざわついている。
「…金澤先生、」
「高橋にAは渡せません！」
先生はマイクをもっていないので、両手でメガホンを作って大きな声で叫んだ。瞬く間に、ひゅーひゅー、とか、女子の黄色い歓声とか、そういうもので体育館が溢れかえった。あわてて校長や、いろんな先生たちが静止するよう指示している。そんな中、わたしだけ時が止まったかのように固まっていた。周りに対する意識が遠のいて、夢みたいな感覚になる。
気がついたら教室にいた。あのあと、生徒が通称する 告白大会はほかの先生たちによって中止となり、各々の教室に解散となったようだ。
ぼーっと、してた。ショートホームルームの担任が何話してるとか、高橋のこととか全く意識できなかった。ただ、先生の『ちょっと待った！』『高橋にAは渡せません！』の言葉を、ただただ頭の中でリピートさせていた。
「A」
みんなが帰る支度をしても、わたしはずっとぼーっとしていた。心配している友達も、これからバイトだったみたいで ラインで詳しく聞くからね！と机を叩いて帰っていった。
わたしは我に帰った。先生の優しい声が聞こえたからだ。
「先生」
「あのあと、校長先生にちょっと怒られちゃった」
そういってクスクスと笑う先生に、残っていた生徒が何人か冷やかしをいれる。そういえば、教室でほかのひとがいるなかで、こうして話すことって稀だ。
「Aは高橋に何回も告白されてて、彼女も困ってたんですって話した。断る雰囲気だったから僕が茶化すしかなかったんですよ〜っていったら、許してもらえたよ」
ちょっと高橋には悪いけどね。お前らも内緒だよって先生は残っていた生徒たちに告げ口をした。
「ありがとう、先生。頭まっしろになってたから助かりました」
「Aが敬語使うなんてよっぽどだな」
我に帰ったので、ようやく通学カバンに教科書やらなんやら詰め込んだ。先生が教室を出ようとするから、わたしも準備を終わらせてついていく。その姿をクラスメイトは冷やかしながら見送った。
先生は、わたしを帰すために下駄箱に向かうのではなく、管理棟に向かった。わたしも、駆け足で後を追った。
.
Q16.だめになっていいですか？→←Q14.どう返事したらいいですか？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 516人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
遥乃。(プロフ) - miさん» いえいえ！ 首を長ーくして待ってます！ (2018年11月8日 0時) (
レス) id: fb9388dbfe (このIDを非表示/違反報告)
mi(プロフ) - 遥乃。さん» 優しいお言葉ありがとうございます(Ｔ＿Ｔ)自分のペースで更新していきます〜 (2018年11月7日 9時) (レス) id: 1f8135c296 (このIDを非表示/違反報告)
遥乃。(プロフ) - まぁ、盗作は論外ですが。 (2018年11月6日 1時) (レス) id: fb9388dbfe (このIDを非表示/違反報告)
遥乃。(プロフ) - miさん» 遅れるも何も、好きな小説を好きな時に好きなように書くサイトなんですから、気にしちゃダメですよーw 実際の小説家たちみたいに締め切り日があるわけでもないし。 (2018年11月6日 1時) (レス) id: fb9388dbfe (このIDを非表示/違反報告)
mi(プロフ) - 遥乃。さん» 遅れて本当にごめんなさい！待っててくださると嬉しいです〜〜！！ (2018年11月4日 21時) (レス) id: 1f8135c296 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：未詞 | 作成日時：2018年6月25日 16時
