私たちは嘘をつきました【紫】 (ページ6)

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恋するフリ始めました【6】ページ6

…待ってこのタイミングでばれる？今まで隠し通してたのに？
しかもよりによって向井さんと同じグループの人に？
何であの時私は携帯を持っていたの？あの時は本当にたまたまだった。撮影が重なって何かあった時のためにって。普段はスタジオには持って行かないようにしてるから。それにあそこでまさか同じグループの人にぶつかってたまたま写真を落とすなんてある？まああるから今こうして私は深澤さんから向井さんの撮った写真を受け取ってるわけで。厳密に言うと向井さんが撮った写真が載ってる雑誌を買って、それをパソコンに取り込んでプリントアウトしてるものなわけだけれど。そんなの向井さんのことを詳しく知ってる人じゃないと気づかないと思うし。でもそれをまさかめちゃくちゃ近い人に拾われたら気づかないわけないでしょうが………

「……Aさん？」

うわどうしようかな『実は向井さんの写真のファンで～～』とか言って切り抜けられる？…ハイ無理でしょうね。んなことが通るなら今こういう状況にならないわけですよ。堂々と公表できるもん。もちろん向井さんの撮る写真も好きなわけですけれど！？

「Aさん」

『わっ！？』

「やぁっと戻ってきた」

さっきから何度も呼んでたのに、と深澤さんが笑っていた。

「…康二のこと『あの』

「ん？」

『このこと向井さんには秘密にしてもらえませんか？』

ダメ元でお願いしてみた。
すると「ん～～～……」とワザとらしく手を前に組んで考え出した深澤さんを見て(あ、これはだめなやつや)と半分絶望、半分諦めに入っていたところ

『…それってつまり康二のことが好きってことであってるよね？』

…はい。

返事こそはしなかったが、もう深澤さんには確実にバレている。
無言の肯定って言葉を作った人が憎い。

「そっかぁ～～全然康二、気付いてないよね」

『絶対知らないと思います…それに』

「それに？」

『向井さんには好きな人がいるって知ってますから。邪魔するつもりは全くありません』

私は向井さんのことは好きだが、向井さんの恋路を邪魔するつもりは全くない。

「…知ってたんだ」

『わかります』

ドラマの共演者の女の子を好きなことはとっくに気づいていた。だって好きな人だから。

『そういうことですので、くれぐれも内密にお願いします』

そう会釈して去ろうとした時

「ねえAさん、俺に恋してみない？」

また私の頭の思考回路がストップした瞬間だった