恋するフリ始めました【5】 ページ5
向井さんがいる状況と、一昨日ぶつかったふっかさん?と一緒にいる状況に明らかに困惑していた顔をしていただろう私を見兼ねたのか向井さんが
「Aさん、この眠たそうな顔の人がSnowManの最年長の深澤さん、皆ふっかさんて呼んでるねん」
「誰が眠たそうな顔や。ちゃんと起きてるよ!深澤辰哉です〜康二がお世話になってます」
「それでふっかさん、このきれ〜な人はこのドラマの主人公のAAさん!」
『…!?!!?いやそんなことはないですがAです…』
急に向井さんからそんな言葉が出てくるもんだから、また猫みたいに飛び上がりそうになった。
何これ…今日私死ぬの?
「今日今からふっかさんと仕事やからってご飯ついでに一緒に食べようなって迎えに来てくれたんやけれど、そしたらふっかさんがいきなりAさんにちょっと用事があるって言うもんやから」
二人は同じグループのメンバーっていうことだよね?いや、向井さんがアイドルグループに所属していたことも今や若い人で知らない人はいないほどのグループってことも知ってはいたけれど、本当に狭い世界で生きていた私はそのメンバーの方を全て把握できていなかった。
だって向井さんのことを好きなってから、アイドルグループに所属してるってことも知ったし、それもドラマ始まってからだからまだ1ヶ月も経つか経たないかだし…
自分の視野の狭さや情報の少なさを改めて恨みながら深澤さんと向井さんの会話を見ていると
「向井くーん!ちょっと今来れるー?」
「行きまーす!ほんじゃふっかさん控え室で待っててな!Aさんはまた明日お願いします!」
遠くにいるスタッフさんから呼ぼれた向井さんは颯爽と私と深澤さんを残して去ってしまった。
『あの、それで用事って…』
「Aさん、何か探し物してたりしない?」
『え、と』
心臓がドクンと鼓動を打った。こんな時の私の予感はとてもよく当たる。
空中で視線を泳がせていた私の端に深澤さんの手が映った。
そしてその手に持っているものは
「Aさんが探しているものってこれじゃない?」
一昨日落として見つからなかった写真だった。
『……そうです』
見つかった安堵感と共に襲ってくる焦燥感。
「これ、康二が撮った写真、だよね?」
そう囁いた深澤さんの笑顔は、間違いなく天使の方ではなかった。
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作者名:ta | 作成日時:2021年10月24日 22時