私たちは嘘をつきました【紫】 (ページ34)

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「あ！Aちゃん～！」
『遅れてしまってすみません！』
「仕方ないよ～仕事だったんでしょ？」
『それはそうなんですが…』
「じゃあ謝るのはなし！はい、これチケットね」

LINEで『○時にここの７階に来てね』と送られた地図を何回か迷いながら辿りついた。
今日は俺は仕事は昼過ぎまでだったからここの地下でご飯食べてたんだ～ラーメン美味しかったよ、おすすめと言いながらいかにもお化け屋敷です！みたいなおどろおどろしいチケットを渡される。
夕方まで映画の撮影で、そこからタクシーを使ってきた。商業施設のワンフロアを貸し切って出来ているそれは中は当然見えないながら、入口から怖さを出してきている。入り口に立っている人もその世界観を保つためか帽子を深く被りよく表情が見えない。そして「心臓が弱い方、持病をお持ちの方は…」注意書き。

「そういえばAちゃんはこういうのって行ったことある？」
『いえ、初めてですねえ…』

そう実はお化け屋敷は初めてだった。決して避けてた訳じゃなくてそういう機会がなかっただけで。
でも暗闇とかは苦手だ。小さい頃家族で行ったお祭りではぐれて、しばらく夜の人気のないところを彷徨ってから暗闇にいると得体の知れない何かにそのまま攫われそうな感覚や、2度と誰にも会えないような感覚になってしまうから。

「俺もさ学生時代はほとんどなくてYouTubeの企画とかで入ったくらいかな」
『そうなんですね。その時はどうでしたか？』
「全然平気だったよ～！…なんてね、めちゃくちゃびびってた。だから何かあったらAちゃんよろしく！」

こんな二人が何故お化け屋敷に行くことになったかと言うと、遡ること深澤さんからLINEが来た日。

…お化け屋敷？と頭でハテナを浮かべていると

【知り合いからお化け屋敷のプレオープンのチケットもらってさ～メンバーは企画とはいえもうお化け屋敷一緒に行ったりしてるしどうせならAちゃんどうかな～って思って❗そういうの苦手なら全然❗】
【その日なんだけれど12月の～】
と続けてきていた。

お化け屋敷かぁ……暗闇は苦手だけれど行ったことはないので興味はあった。深澤さんが提示している日程も映画の撮影はあるけれど一日中ではなく、次の日がなんとオフだった。どういう偶然？と思いながら

［行ってみます］

と返答すると【良かったー❗✨じゃあ近くなったらまた連絡する❗】とそこで一旦連絡は終了した。