絶対的エースの彼氏がイケメン過ぎる件。《３rd》

第97話 ページ3

もう、梨花が死んで何年も経つ。
涼という新しいパートナーにも恵まれ、幸せに生きている。

梨花のお義父さんやお義母さんにも報告して、その幸せを喜んで貰えたというのに。

なぜ俺はまだ過去から立ち直れないのだろう。

｢……りょ、すけ。｣

疾風｢……ゆうま……。｣

最近は眠りも浅いからか、疲れが溜まるのが早くて、大体仕事終わりに楽屋でウトウトしていたら疾風に起こされ、送迎の車の中で数十分眠る、そんな生活の繰り返しだ。

ショートスリーパーとはいえ、3時間は寝たい俺にとってはかなり体に無理を利かせている状態。

『俺は絶対元気になるからさ！そんな悲しそうな顔すんなって！』

着々と進んでいくドラマ撮影と、それに伴う関係撮影。

『大丈夫、大丈夫だから。俺は、大丈夫。』

日記にしたためる、願いや夢。急に奪われるからでは無い、見えてしまっている死という恐怖。

大泉『生駒くん。状態はかなり良い、そんなに悲観しなくても、君は治る。』

『当たり前っすよ！俺、幸せにするって決めてる人がいるんで！』

医者役の大泉さんの嘘に騙された振りをしながら、夜中、その体の苦しみに俺の命が持たないことは痛いほど思い知らされる。

抗がん剤の副作用で吐き気は止まらず、悪寒もすごい。

それでも生きたいと願うのに、その願いは叶わない。

『おぇっ……！』

何度眠れずトイレで明かす日々を過ごしただろう。

『元気になってきてる！まじで退院まであと少しだろ！』

黒島『うん、楽しみにしてる！また明日来るね。』

あぁ、神様がいるのなら、教えてくれ。

俺の挑戦はどこまで持つのだ？

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