絶対的エースの彼氏がイケメン過ぎる件。《３rd》

第95話 ページ1

疾風(咲夜)side

“死”というものに関して優真は人一倍多感であるし、トラウマがある。

元カノのこともあるだろうし、自
殺未遂した友人のこともあるから。

昔はよく元カノや友人が夢に出てきて、｢なんで1人だけ幸せになれると思うの、｣｢助けて、優真、｣なんて言われていたらしい。

実際アイツは不安定な時期が長く、中、高、大、と立ち直り方が分からず遊びまくっていた。

今でこそ優しくて紳士な優真も前はただの屑だったことをよく覚えている。

だからこそ涼介と一緒になるってなった時は内心すごく嬉しかったし、祝福したものだが。

目の前で収録に挑む優真の顔は本当にどこか窶れて見えた。

幼馴染だから分かるそれなのか、みんなからみてもそうなのかは俺には分からないけれど。

それ程、今あいつが受けているドラマの撮影はアイツに心的ストレスをかけているのだろう。

『挑戦』というシンプルな題名がついたそれは、癌患者の友情と愛情を描くノンフィクション。

優真は主人公で30歳になる前にこの世を去った男を演じている。

自分の死と向き合うというのは、優真にとってはしんどいことなのだろう。

｢俺は大丈夫だよ。｣

その言葉を信じて仕事を渡したが、優真に負担をかけたい訳では無い。

だが、優真が一度請け負った仕事を人に渡すとも思えない。

そうなれば、俺のやることはひとつしかない。

咲夜『悪いけど暫く優真の様子を注意深く見てやってくれ。』

山田『さっきのこともあったし、そのつもり。』

涼介は昔から俺を威嚇してる気がするんだけど。

でも、こいつにしか優真のことを任せられないし、優真には涼介しかいないから……。

そんな2人が羨ましいな、なんて思っていた頃もあったっけ。

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