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 私だって、少しはこんな未来も予想していた。
 分かっていたの。彼と仲良くなる度に、こんなことがいつか起こることくらい。


 それでも私は、ジョンハンとの繋がりを切れなかった。
 「A」って、彼が両手を降ってくるあの屋上に、あの笑顔に、毎日会いに行くのを止められなかった。あまりにあの時間が楽しくて、忘れてしまっていたの。

 
 だからこれは罰だ。分かっていたのに、いつの間にか、それでも彼との繋がりを願い続けた。
 並ぶにはあまりにも平凡な、私への罰。







 
「あ、あれ?Aちゃんだ」
「あ……ジョシュア先輩…」


 お昼休み、足早に向かった購買にはジョシュア先輩が立っていた。思わず他に誰もいないのを確認して、ほっと胸を撫で下ろす。
 
「なにか買いに来たの?」
「あー…ええと、教科書にジュースこぼしちゃって、ちょっと新しいの買わなきゃかなって……」

 スンチョル先輩達まで来たらどうしようと、視線を泳がせながらの言い訳は、我ながら少し苦しかった。ジョシュア先輩は聡そうだから、うっかりすると今の状況がバレてしまいそうだ。
 
「…なんの教科書?2年生の時のなら、確か家にとってあるから、もし明日でも良ければ僕の持ってこようか?」
「ええ…いや、それはさすがに申し訳ないです」
「全然。どうせ使わないし、なんとなく取ってあっただけだから。Aちゃんの役に立つなら嬉しいよ」
「…ほんとですか?すみません…、数学なんですけど…ありがとうございます」

 願ってもない提案に、私は深々頭を下げる。ジョシュア先輩も釣られるように視線を落として、それから私が顔を上げても、まだ彼の視線は床に落ちたままだった。
 彼の視線がどこに止まっているのか気がついて、思わず僅かに後ずさる。

「……Aちゃん…上履きは?」
「え、あ……ちょっと、汚れてたので…その、洗おうと思って昨日持って帰って、そしたら今日忘れちゃって…」
「……へぇ…そうなんだ…。じゃあ、今日は災難続きで大変だったね」

 ジョシュア先輩が顔を上げたとき、その顔にはいつもの優しい笑みが浮かべられていた。
 それから、彼は生徒会の仕事があるからと、明日教科書を持ってきてくれる約束をして戻っていった。


 
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(プロフ) - クマ!さん» そう言って頂けてめちゃくちゃ嬉しいです…!!続きも楽しんで頂けるよう頑張ります!ありがとうございます🥰 (2022年9月29日 3時) (レス) id: 54815ccb82 (このIDを非表示/違反報告)
クマ!(プロフ) - このお話凄く好きです(๑˃̵ᴗ˂̵) 更新楽しみにしてます😆! (2022年9月28日 23時) (レス) @page28 id: d3bc43a704 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 凌さん» すみません、確認不足でした💦 ご指摘ありがとうございます!助かりました!! (2022年8月15日 10時) (レス) id: 54815ccb82 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - お-リ-ふ-ラ外しましょう (2022年8月15日 8時) (レス) id: 10600dccf7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年8月14日 2時

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