2 ページ2
.
「うそ、冗談だよ。
あー、いや、生徒が近づかないのはほんとだけど、まぁ多分、心霊スポットじゃないよ」
「………じゃあ、なんでみんな近づかないんですか」
うくくく、とまだ笑っている彼に、私はまんまと弄ばれたようだ。先程の足のすくみを誤魔化すように彼の横に座ると、じとりとその楽しそうな横顔を睨む。
「まぁ普通に、こっちの校舎は化学とか家庭科とか移動教室ばっかでクラス無いし、屋上なら第1校舎の方が広いし、前にタバコの吸殻ここで見つかってから、こっちはちょっとグレたやつの溜まり場になってるみたいな噂があるから」
まぁ実際は別に、こんなもんだよ。と、彼は首をすくめて両手を上げる。その指先に誘導されるように屋上を見渡せば、別にそこはただビニール張りのタイルが柵の足元まで続いているだけの、何も無いただの屋上だ。彼の他には人影もない。
こっちはなんだか信ぴょう性のある内容だったので、私は納得して頷いた。
すると彼はからかうように笑って、私の顔をのぞき込む。
「君、騙されやすいって言われるでしょ」
「…言われませんけど…まさかそれも嘘なんですか…？」
「いや、今度の話はほんと。でもさっき騙されたのに、あっさりまた俺の話信じた顔するからさ」
何を言ってもニヤニヤとからかわれそうなので、私はもう黙っておくことにした。
噂のイケメン先輩はどんな人なのだろうかと想像を膨らませていたのに、なんだか拍子抜けした気分だ。まぁ、まだ名前を聞いていないので本当の正体は分からないのだけど。
でも、そのあまりに美しい横顔を見ると、多分この人が彼なのではないかと思わずにはいられない。
この前廊下ですれ違った先輩達も随分イケメンだと思ったけど、近くで騒いでいた女の子たちによると、彼らは生徒会のジョシュア先輩とジュン先輩って言うらしいし。
あの人たちで違うなら、多分彼が、
「人の顔見すぎ」
そんなことをぐるぐる考えているその間、無意識に私の視線はずっと彼の横顔に注がれていたらしい。彼はわざとらしく両手で顔を隠すと、ちらりと目だけ指の間から覗かせる。
細められた瞳が私をじっと見つめる。思わず私も「見すぎです」と顔を隠すと、「仕返し」と彼が顎を持ち上げて楽しそうに笑った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1184人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
。(プロフ) - クマ！さん» そう言って頂けてめちゃくちゃ嬉しいです…！！続きも楽しんで頂けるよう頑張ります！ありがとうございます🥰 (2022年9月29日 3時) (
レス) id: 54815ccb82 (このIDを非表示/違反報告)
クマ！(プロフ) - このお話凄く好きです(๑˃̵ᴗ˂̵) 更新楽しみにしてます😆！ (2022年9月28日 23時) (レス) @page28 id: d3bc43a704 (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - 凌さん» すみません、確認不足でした💦 ご指摘ありがとうございます！助かりました！！ (2022年8月15日 10時) (レス) id: 54815ccb82 (このIDを非表示/違反報告)
凌(プロフ) - お-リ-ふ-ラ外しましょう (2022年8月15日 8時) (レス) id: 10600dccf7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：。 | 作成日時：2022年8月14日 2時
