吉野順平ガチ勢が原作をぶっ壊す話2

着せ替え人形になったような気分 ページ14

｢柊くん、ちょっと試したい髪型あるんだけど、髪いじらせてもらっていい？｣

｢Aは動かないでくれたらそれでいいわ｣

『んー……？あぁ、いいよ』


ふと桃ちゃんと真衣ちゃんが部屋を訪ねてきてそう言う

特に何をしているわけでもなく、動きたいとも思わなかったため

寝そべっていたベッドから体を起こして微笑む


｢にしてもいつ来ても最低限しか物置いてないね〜、なんか欲しいものとかないの？｣

『特に…ないかなぁ、元々物欲とか少なくて、絶対必要な物がない限りはお金も使わないし』

｢意外とそういうとこは男っぽいわよね、変に淡白って言うのかしら｣


前世ではそれなりにメイク用品や服に興味はあったし、毎週のジャンプは欠かさず買った

けれど今世、男として転生し、順平と出会い

彼という存在が生きていればそれでいいと思えるようになってしまった

もちろん探そうと思えば娯楽はいくらでもある、けれどその全てもまた

順平が居てこそ楽しいと思えるものなのだ



｢髪、伸ばしてるの？すごいサラサラだし手入れもしてるみたいだけど…｣

『元々長めではあったんだけど…順平はボクよりもう少し長いから、同じくらいに伸ばしてみようかなって…』

｢本当にその順平って子の事好きね｣

『好きだよ。他の何を捨ててもいいって思えるくらい』



彼の傍に居れないことが酷く不安になる

けれどそれが執着かと聞かれれば違うと言いきれる

もし、彼がボクのいない世界で幸せになることを望むなら、ボクは身を引くと断言出来るから

幸せな彼のそばに居たいなんて言うのは、ボクのワガママなのだから


｢よし、出来た。我ながらなかなかの出来｣

｢いいじゃない、桃こういうの得意よね｣

｢柊くんには負けるけどね、ささっ、柊くん次はこれ着てくれる？｣

『いいけど、髪いじりたかったんじゃ…』

｢他の男だと絶対着てくれないでしょう？ちょっと実験がしたくて｣

『そっか…』


彼女たちが部屋を出ていったのを確認してからなるベく髪型を崩さないように服を着る

ふと鏡に写ったボクの髪は横髪が片方耳にかけられ、前髪はかきあげるようにして分けられ

後ろ髪は編み込みを含んで一つ結びにされていた

渡された服もお出かけ用の服といったお洒落な服で、疑念を抱きながらも袖を通す


『終わったけど、実験って何？』

｢うん、バッチリ｣

｢それじゃあ今から駅いくわよ｣

『え？』


ボクが何かをいう間もないまま、両腕を掴まれて体を引かれた

顔を上げたその先に天使が現れたような運命的再会→←乗り込み上等！！

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