吉野順平ガチ勢が原作をぶっ壊す話【呪術廻戦】

優しい嘘 ページ37

悠仁side


真人に背後を取られたその瞬間、ナナミンが応援に駆けつけてきたおかげで

手数という意味では余裕ができた

だが驚いたのは真人に攻撃が効くのは恐らくAと俺だけだという事だ


｢お互いが作った隙に攻撃を畳みかけていきましょう、ここで確実に祓います｣

｢おう！｣


次々と体を変形させて戦いを混じえる真人は、まるで戦いそのものを楽しんでいる

順平を唆して、Aを殺しかけて

そんなやつを野放しにできるわけがない

ふと、自身の体をウニのように変形させた真人が着立したその直後

呪力の貯めがあることに気がつく

体を小さくして逃げ出していたということは、つまり……


｢やつは形を変える直前…｣

｢呪力の貯めがある！｣

｢よろしい｣


それはつまり、変形によっては時間を要するって事だ

なら、変形させる間もないまま叩きのめせば…

そう考えていたその時、真人が口から何かを吐き出す

吐き出されたそれが改造人間だと気づいたのは

こちらに向かってそれ等が攻撃を仕掛けてきた時だった


俺には、殺せない


距離をとるようにしてそれらから逃げていく、家入先生の言葉が頭に響いた

改造人間はもうどうやっても直せない、と

けれど、今俺の目の前にいるのが人間で

人間だったもので

そう考えるだけで、とても拳を握れるだけの覚悟が持てなかった

そのせいだ、咄嗟に掴んだ1人が何かを発する事で迷ったその隙に

残りの2匹が俺を取り巻き拘束した

そのうちの1匹が俺の喉元を狙うように乗っかり、おもむろに言葉を吐く


｢おねガィ、たす、けテ｣

｢……ッ！｣


頬に生暖かい液体が垂れる、ここで此奴らはやらなきゃ行けない

その死に場所を、俺が背負わなきゃ行けない

そう強く思って、拳を奮った


『優しすぎるよ、悠仁くんは』

｢その声………A？！｣


上空から声が聞こえた途端、改造人間のうちの1人が爆散した

あまりにも迷いのないその行動に思わず言葉が出そうになるが

俺自身もまた呪力を込めて改造人間を殴る


『はい、こっち2人。迷ってたら死ぬよ』

｢なんで…お前は平気なの？｣

『別に平気じゃないよ、でも彼らは他人だ、だから殺せた。ボクは君みたいに名前も知らない誰かのために命を捨てれるほど優しくはないんだ』


その言葉は冷たくもありながら、まるで自分自身に言っているようにも思えた


『ほら、早く行かないと』

｢…おう｣


A、お前は優しいよ

だからそんなに自分に嘘をつかないでくれ

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