人類最強の頭脳２【リヴァイ】 (ページ30)

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６６．優しい嘘/あなたページ30

団長が遺体の確認をしている中に、リヴァイ班の四人がいたことが分かった。

途方もない悲しみが襲ってくる・・・。

毎日のように顔を合わせた仲間だ。

いつも私のことまで気遣ってくれたペトラ。

そのペトラと夫婦漫才をして笑わせてくれたオルオ。

リーダー的な存在で頼りになるエルド。

真面目でしっかり者だったグンタ。

みんなで食事をし、リヴァイに怒られながら掃除をしていた風景がまじまじと浮かんでくる。

・・・ヤバイ・・・泣きそう。

でも、泣いてはいけない。

副兵長が泣いてどうする。

それに、エレンやリヴァイはもっと悲しいハズだから・・・。

ふと、リヴァイを見ると、男の兵士と話している。

何かを手渡しているように見えたため、角度を変えてみると、手には自由の翼・・・。

その意味は聞かずとも分かった。

さきほど、団長が言っていた。

エルヴィン『遺体を持って帰りたい気持ちは分かるが・・・それすらしてやれない。

・・・辛いものだな』

・・・と。

団長だって、心を痛めつつでも物事を進めていかなくてはならないんだ。

私はリヴァイが班員を亡くしたときは、いつも自由の翼の勲章を持ち帰ることを知っている。

おそらくリヴァイは、遺体を持ち帰れなくて悲しみにくれている兵士に、リヴァイ班の誰かの勲章を、その亡くなった友人の物だと言って渡しているんだ。

少しでも兵士の心の傷が癒えるようにと・・・。

それはリヴァイなりの優しい嘘だった。

その兵士から涙が流れる。

リヴァイは馬に乗り、その場を去った。

・・・そうだよ・・・リヴァイは出会ったときからこうだった。

誰よりも仲間思いだった。

ーーー私もそんなリヴァイに救われたうちのひとりだから・・・。

二回目の休憩を終え、目の前にウォール・ローゼの門が見えた。

・・・生きてる。

まず、それを実感した。

しかし、門をくぐるとそこはいつものように地獄だった。

私たちが守りきれないせいで、生きて帰ってくることができなかった兵士の家族や友人、恋人は心がえぐられる。

そして、命を賭して戦ってきたのにも関わらず、罵倒の嵐を身にうける私たち調査兵団の心もえぐられる。

成果が得られずに帰ってきた、つまり、税金の無駄遣い。

壁外で何があったのか見ていないから、そうとらえるのも仕方ない。

でも、兵士は力の限り戦ったんだ。

誰も悪くない。

この気持ちはどこにぶつければいい？

言うなれば悪いのは、不条理なこの世界だ。