５９．壁の前/あなた ページ23
そして、壁外調査の日。
私たちはみんな自分の馬に乗って門の前に並ぶ。
私はエルヴィン団長の近くに身を置く。
私の頭脳を存分に活用してもらうための有効なポジションだ。
団長の隣にはミケがいる。
ミケは鼻が犬並みに効く変人だ。←
そのミケが嗅覚で察知した巨人などの気配を団長に知らせる。
そして、必要があればその情報を私に伝えて、効率の良い作戦や安全な方向、問題解決の糸口を考えて、それをまた団長に伝える。
最終的には団長が指示を出して、兵士全体が動く。
・・・つまり、兵団の運命は私の判断で大きく左右されることもあるということだ。
しかし団長は、
エルヴィン『君の発言や考えは、あくまでも意見だ。
判断は私がしている。
だから、失敗をしたとしてもその責任は私にある。
Aはとにかく、今正しいと思ったことを私に伝えてくれ。
必要以上のプレッシャーは感じなくてもいいからね』
・・・と、ダンディーなお言葉をかけて下さったことがあった。
私はそのおかげもあり、今では戸惑うことなく自分なりに考えて団長に伝えることができるようになっている。
ふと、後ろを向くと、奇行種が何だのとはしゃいでいるハンジの頭をわしづかみにして、面と向かって皮肉を言っているリヴァイの姿があった。
その和やかなコント(？)に思わず笑いがこみ上げて来る。
・・・とはいえ、これから戦場とも呼べる場所に向かう前であるため、最小限の笑いに抑えた。
すると、それに気づいたリヴァイが私の方へと馬を向かわせた。
その表情はいつも通りの仏頂面。
リヴァイ「ちゃんと時間までに間に合ったみたいだな」
A「バカにしすぎ！
さすがに壁外調査の日に寝坊したことはないんだから」
・・・そんなことをわざわざ言いに来たのか、こやつは・・・！
リヴァイ「そうだったか。
オレの中でお前は寝坊女だったけどな」
A「いつからそんなけったいな称号をつけられたんだか・・・」
リヴァイ「お前が二度目の寝坊をやらかした時だ」
A「うわ・・・何年前よ・・・！」
エルヴィン「兵長、副兵長同士の水入らずのお話は楽しそうだね」
A「団長、聞いてたんですか！」
エルヴィン「いゃ、聞こえてたんだよ、普通に」
リヴァイ「黙れ、地獄耳」
エルヴィン「おお！リヴァイ、今日も絶好調だな！」
リヴァイ「・・・はいはい」
リヴァイは面倒くさそうに返した。
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作者名：yuzuyu | 作成日時：2014年8月12日 13時
