喧嘩 ページ22
しまった。やってしまった。
久々の一軍での試合、私は一打席目から死球を受けてしまった
その時は何でもなかったのだが、試合中盤からどんどん痛みが増してきている
どうするべきか迷ったけど 試合に出れるチャンスを逃すわけにはいかず、黙っていることにした
『…あ、由伸ナイスピッチ』
中盤で先発の役目を終えた由伸とグータッチをする
山本「どーもー …ねぇA、ボールあたったとこ見せて。」
穏やかな口調で隠していたことを突かれて焦る
『い、いやだ。平気だから本当に。』
山本「だめ。早く見せて」
由伸は私の拒む声も聞かず、私のユニフォームの袖を捲りあげ、ボールがあたった肩の部分をそっと触った
『いっ!…たくない!』
山本「やっぱり。腫れてんじゃん 変な意地はってないで早く医務室行くよ!」
『…っ行かない!!大した事ない!まだやれる!』
山本「ほんと意地っ張り、悪化したらどうするの」
私の手首を掴んで由伸が立ち上がる
『由伸には分かんないよ!私はこの少ないチャンスを掴まないといけないの!!』
山本「だから…!!」
福田「おいお前らそこら辺にしとけ!今試合中なんだから」
杉本「一体何があったん?!そんな怒って」
山本「…さーせん、Aが怪我してるんで医務室連れて行こうと思って」
宗「もしかしてさっきの?確かに痛そうだったもんなー」
『はい、でも…!』
福田「あー…何となく状況わかったわ。A、気持ちは分かるけど早く医務室行かなあかんで」
『…』
中川「大丈夫。まだチャンスはあるから 今日は休もう?」
『…はい』
圭太さんに付き添われながら医務室に行き、一人になったらもう何も考えれなくて
ただただ悔しくて情けなくて申し訳なかった
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作者名:ばお | 作成日時:2023年12月30日 23時