ここが居場所 ページ11
春季キャンプ最終日
すっかりルーティーンになっていたラオウさんと周平さんとのトレーニングも今日で最後。
福田「…なあA 聞かれたくないことやと思うんやけどちょっとええか?」
真剣な面持ちの周平さんに圧倒されつつも首を縦に振った
福田「俺この前Aのニュース見ててん。"Aがいじめしとった"って」
『…』
福田「でもやっぱり、こんな素直で一生懸命な子がいじめしとるなんて考えられへんのや。
俺はAの口からちゃんと聞きたいで。教えてや、本当のこと」
瞬間、苦しかった思い出が頭をよぎる。
なんでもない朝だった。
通知の音がうるさくて目を覚まして、スマホを見ると
チームメイトの同期が勝手にでっち上げた話が広まってて
ファンの人からのDMは ほとんどが誹謗中傷で
球団も私の話を聞いてくれず、あっという間にクビにされて。
孤独だった。怖かった。
誰も信じてくれず、大好きな野球も取られて。
『…っやってないっ!そんなことやってないです!
なのにみんな信じてくれなくてっ!!ずっと、っ、ずっとつらかった、!』
気づいたら涙が溢れ出てて、感情のまま大泣きした
杉本「ちょっ!!周平のアホ!!Aのこと泣かせるなや!!」
ラオウさんが膝の上に乗せて ギュッとハグしてくれた
福田「Aごめんな?!まさかこんななるとは思わなかったん!!
でも話してくれてありがとな?」
そう言った周平さんの頭を撫でる手が心地よかった
・
・
「寝顔めっちゃ可愛い…」
「周平さんが泣かしたってマジすか?」「ち、ちゃうねん!これには理由が…」
「ラオウさん!そこずるいっす!」
いつの間にか眠っていたらしい。みんなの声がかすかに聞こえて目を覚ます
目の前にはみんなの顔。
後ろから声がすると思っていたらどうやらラオウさんがそのままハグしてくれていたらしい。
『!? す、すみません!!』
杉本「ええねんで〜、おはよう。」
紅林「周平さんがうるさいから起きちゃったじゃないすか」
福田「なんで俺のせいやねん…」
周平さんを見て言わなきゃいけない言葉を思い出す
『っあの!!私いじめなんてしてないです!信じてほしいです!!』
「「…」」
周りが静かになってちょっと怖くなる
『…あ、』「そんなのみんな知ってるよ笑」
由伸が笑顔で言う
周りのみんなもそれに同調する
私の居場所はここなのだ。最終日、そう強く思った。
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作者名:ばお | 作成日時:2023年12月30日 23時