33音 ページ35
〈Aside〉
ゆっくりと、瞼を持ち上げる。
今は、夜なのだろうか。
凄く、静かだ。
目を細める。
………嗚呼、帰ってきたんだ。
誰かに手を握られている。
視線を動かして、その正体を探す。
桜色の髪が目に入った。
『_________________悠仁』
声は掠れていた。
本当、どんだけ寝てたんだろ。
君がゆっくりと頭を持ち上げる。
「_________________A?」
君は泣きそうな声でそう言った。
いや、もう泣いていた。
「A!!」
ぎゅっと抱きしめられる。
「バカ、バカ、バカ……バカ野郎……!
どんだけ心配したと思ってんだよ………!!」
『うん、ごめん。ほんとごめん』
私も泣いている。
両頬を大粒の涙が伝う。
そして、ずっと言いたかったことを言う。
『ごめん、酷い態度とって、ごめん……!』
「……いいよ。俺たちの為だったんだろ?」
悠仁が私の肩を優しく掴んで、目を合わせる。
「なぁ、A」
.
俺、Aが好きだ
目元を赤く染め、悠仁はそう言った。
『うん、私も_______私も、悠仁が好き』
もう一度、強く、強く抱きしめられる。
「帰ってきてくれて、ありがとう。
おかえり、A」
『うん。
ただいま』
今、凄く幸せだ。
16人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しぐれ | 作成日時:2022年1月24日 21時