-Episode82- ページ34
車内を出ると暑さに目が眩む。
数分、いただけでも倒れてしまいそう。
こんなに日本の夏は暑かっただろうか。
『部屋に運んでおきますね』
「ありがとうございます」
五条「あれ何が入ってんだよ」
「主に呪物とそれに関する資料かな」
五条「ふーん」
興味なさそうな返事。
五条「なァ」
「ん？」
五条「夜、任務ある？」
「今のところは入ってないけど」
五条「部屋行ってもいい？」
「散らかってるけど」
五条「知ってる」
顔を見合わせて笑う。
いつぶりだろうかこうやって笑い合える時間が出来たの。
張り詰めていてばかりだった体が解れる気がした。
寮に入ると素手に傑と硝子に七海、灰原の姿。
灰原「おかえりなさーい！」
「ただいま」
すぐ私の視線に入ったのは傑だ。
物凄く痩せた。
そして目の下に濃い隈。
目が合う。
夏油「此処に座るといい」
「うん、ありがとう」
夏バテじゃない。
灰原「A、中国はどうだった？」
「任務自体は失敗だったけど珍しい呪物の数々を手に入れられたからプラマイゼロかな」
灰原「へェー。にしても髪、伸びたね」
灰原が私の髪を触ろうと手を伸ばしたがその手を悟が叩いた。
五条「お前ら午後から任務だろ。早く食って行けよ」
灰原「はーい」
「傑、ネギいる？」
夏油「うん」
「いただきます」
艶やかな素麵を箸で持ち、つゆにくぐらせる。
一口で食べた。
美味しい。
七海「一つ、聞いてもいいですか」
ずっと黙っていた七海が口を開く。
視線は私に向いている。
七海「鵜久森Aは死んだのですか」
「死んだ」
一気に場の空気が重たくなる言葉をはっきりと答えた。
七海「そうですか」
「好きだったか」
素麺を取りながら言う。
七海は首を横に振った。
「彼女が大切な存在だったらすまない」
素麺をつゆに落としてから頭を下げた。
「私は彼女が望んだ世界を作り上げる」
ゆっくりと下げている頭を上げながら言う。
七海「世界？」
「あまり詳しくは言えないが私は変えたいと思っているの」
このマラソンゲームに確変を起こしたい。
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作者名：アルマジロ
| 作成日時：2023年9月2日 9時
