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-Episode78- ページ30

「これ勝てるの」

近衛Aに話かけても答えは返ってこない。

どうして。

いつもなら返ってくるのに。

夏油「呪力消費かなりしてるって言ってただろう」

夏油さんの言葉が蘇る。

今は私と会話するよりも体を操ることに全振りしているのか。

勝てるのだろうか。

しかも、片腕で。

どうしたら全力で近衛Aが戦える。

考えろ。

向こうが体を動かしてくれている間に。

瞬く間に始める戦闘の中、必死に考えていると頬に打撃が当たる。

何故。

さっきまで避けれていたのに。

感覚があまりなかった左腕が痺れるように痛い。

視線を向ければ柄を強く握っているせいか豆が潰れ血塗れだった。

もう限界がすぐそこまできているんだ。

殴れたせいで口の中が切れる。

血を吐き出す。

今度は蹴りが来る。

刀身で受け止めるが受け止め方が悪かったせいで刀が真っ二つに折れる。

折れた切っ先を体を回転させながらつま先で蹴って男の肩に刺す。

そして影からまた新しい武器を取り出した時に何かが引っ掛かって一緒に出てしまう。

拾おうとすると突然の背後から発砲音が二つ。

足に力が入らず力が抜けるようにコンクリートに体が叩きつけられる。

孔時雨「回収完了」

立ち上がろうとするが片腕だけじゃ難しい。

「返せ」

甚爾「コイツの死体は値が上がる」

孔時雨「ただの禪院家の分家か何かじゃないのか」

甚爾「ちげェよ」

左腕でスーツの男の足を掴もうと手を伸ばすと手の甲に天逆鉾が刺さった。

痛みを感じなかったはずの体が一気に痛みを感じだす。

溢れる涙。

孔時雨「術式の強制解除、嘘じゃなかったな」

甚爾「これで五条悟も殺せるってわけか」

今、何て。

これで五条悟も殺せる?

孔時雨「まずは星漿体の確保が先だ。じゃないと盤星教の連中が五月蠅い」

星漿体?

盤星教?

次々に出て来る言葉達に理解が出来ない。

孔時雨「早く殺せ。人が来る」

甚爾「はいはい」

手の甲に刺さっていた天逆鉾の先が額に当たるとそのまま刺された。

怒りだけが最後に残って私は死んだ。

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作者名:アルマジロ | 作成日時:2023年9月2日 9時

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