-Episode64- ページ16
大きな金属音と体が浮遊する感覚に目を開けると新幹線が止まっていた。
「…すみません。もう着いたんですか？」
五条「ちげェ」
「え？」
『嬢ちゃん、楽しい楽しい修学旅行には行けねェよ』
五条「っせーよ」
『反抗したらどうなるか分かってるのか。六眼の餓鬼』
私の頭に何か硬い物が当たる。
呪詛師。
ならどうして拳銃を…。
夏油「何が目的で？」
『六眼の餓鬼の捕縛』
五条「やってみれるならやってみろよ」
『分かっているのかこの新幹線には大勢の非術師がいる』
夏油「ならとっとと殺せばいい。何をもったいぶっているのか分からない」
『てめェ！』
私の頭に拳銃を突き付けている男の後ろで黙っていた男が吠えた。
『まずはこの女から始末する』
引き金に手をかける音が耳元で聞こえる。
術式の影を使おうと人差し指を微かに動かすが影は動かない。
どうして。
冷や汗が背筋を伝う。
夏油「私達は貴方方の捕縛対象では…！」
耳と劈く発砲音が聞こえると同時に生暖かい血が頬を濡らす。
銃口から白煙が立ち上がっていた。
男は撃ったのだ。
「夏油さん！」
『おっと嬢ちゃん動くなよ。急所は外してある』
痛そうに撃たれた箇所を手で押さえている夏油さんを横目に見る。
撃たれたのは肩。
『殺されたくなきゃ早くこっちに来い』
「…めて……さい」
『あ？』
「辞めて下さい！」
『俺達も生きるのには金がいるんだよ』
「だからってこんな事をするのは違います！呪術が使え……」
私の言葉は続かなかった。
髪を強く引っ張れる。
痛みに顔が歪む。
『なーんにも知らない餓鬼が俺に説教か？』
「こんな…事……を」
『聞こえねェな？』
五条「離せよ。目的は俺なんだろ」
窓側に座っていた五条悟が立つ。
「駄目！」
叫ぶと頭が軽くなった。
床に散らばる赤髪。
夏油「この子は関係無いだろう！」
『っせーな』
また夏油さんに銃口が向くので今度は両手を広げて夏油さんの盾になる。
『術師は皆、金になる。コイツも金だ』
「下衆が」
小さく呟いた言葉に男の眉が動いた。
それを確認した時には発砲音が聞こえる。
すると私には感情を見せない五条悟の顔色が変わった。
何故。
段々と聞こえていた音が聞こえなり、視界の端が黒くなり始める。
五条悟と夏油さんが何か大きな口を開けて言っているが何も聞こえない。
あぁ、私、撃たれたんだ。
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作者名：アルマジロ
| 作成日時：2023年9月2日 9時
