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-Episode63- ページ15

「ふぁ」

つい大きなあくびが出てしまう。

夏油「よく眠れなかったのかい?」

最近、人気と噂の小説を片手にした夏油さんに言われる。

「そりゃそうです。私の中?に別の人がいるなんて知ったら眠れませんよ…もしかしたら殺されちゃうかもしれませんのに」

夏油「確かにAちゃんに殺される可能性もあるのか」

顎に手をあてながら夏油さんが言った。

「そうですよ」

五条「アイツは、そんな事しねェよ」

新幹線の三人席、窓側に座る五条悟が言う。

「どうしてそんな事が言えるんですか」

夏油「私達にとっても悟にとっても彼女、近衛Aちゃんは特別だからね」

「意味分かんないです…」

不貞腐れるように目を瞑った。

今回の任務は、広島県某所の電車車庫と閉店間際だというチェーン店の調査。

勿論、泊まり。

今の内に寝ておこう。

五条「京都校の連中は何やってんだかなー」

夢に落ちる前、五条悟の文句が聞こえた。

はっきりと耳元で聞こえた鹿威しの音にびっくりして目を開けると私は庭に。

目の前には大きな池、振り返れば広そうな屋敷。

廊下を歩く重たい足音に目を向けると角から体格のいい男が一人歩いて来た。

口元には傷跡。

目が合うと男は立ち止まり、口角をあげた。

甚爾「よォ、またジジイ共の呼び出しか?」

「それもだが貴方の様子を見に」

口が勝手に言葉を吐き出す。

甚爾「上層部の指示か」

「さァ」

甚爾「お前が俺に興味があるとは思えん」

「興味、あると言ったらどうする」

そう言うと男は笑った。

甚爾「変な物でも食ったか?お前の口からそんな言葉が聞けるとはな」

「先日、五条家の人間を見に行ったと聞いた」

甚爾「あァ」

男が縁側から下りて私に近づいて来る。

目の前に来た男を見上げると顔が耳元に近づく。

甚爾「ジジイ共は怯えてやがる。均衡が壊れただとよ」

「そうか」

分厚い手の甲が頬に触れる。

甚爾「その内にお前も入るんだろう」

首を傾げると小さな足音が聞こえた。

すると目の前の男が深い溜息をつく。

甚爾「…もう此処で会うことはねェ」

「私もそう思うわ。禪院甚爾」

長い前髪から見える目と目が合うと目の前が歪んだ。

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作者名:アルマジロ | 作成日時:2023年9月2日 9時

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