-Episode50- ページ2
周りの痛い視線を受けながらも電車に乗った。
音楽プレーヤーのイヤホンを耳にはめて最近聞いている曲を流しながら窓側に立つ。
反射で映る自分と外の景色が映る。
周りにいた人々が少なくなってきたなって思った頃に駅に着いた。
ホームに降り立つと同時に隣の車両から金髪の背の高い男の子が下りて来る。
どこか着ている黒色の制服は私のと似ていた。
もしかしたら同級生?
声を掛けようと一歩前に出ると金髪の男の子が私の視線に気づいたのかでこちらを向いたが睨まれた。
まるで話掛けるなと言わんばかりに。
「…友達、出来るかな」
小さく呟いたがそれは次の駅へと向かう電車の音でかき消されてしまった。
大丈夫、大丈夫、大丈夫、と心の中で呟きながら山道を歩く。
大きな鳥居をくぐると大名屋敷の様な建物が広がっていた。
さて、どうやって此処から教室を探すのだろうかと迷って辺りを見渡していると桜が満開な道が見える。
「ちょっとだけ」
桜のトンネルを見上げながら歩いているとまだ新しいアパートの様な建物が視界の端に映った。
きっとあそこが寮か。
なら校舎はこっちで合ってそうかな。
一度、止まった足を再び動かして数分、さっきの建物に似たのが現れたが年季が入ってもう誰も住んでいなさそうだった。
人?
目を凝らして見ると一番端のベランダの柵に背を預けている白金の髪の人がいる。
近づいてベランダを見るとこっち向いた。
その瞬間、突然の突風が私を襲う。
桜の木が鳴り、花びらが舞い踊る。
『校舎ならそっち』
いつの間にか背中だけしか見えていなかった人が私を見下ろしていた。
「……綺麗」
あっと思った時には声が出てしまっていた。
どうやら聞こえていたのかその人は驚いた表情をしたがすぐに笑う。
そして、ありがとうって言ってくれた。
前にもこんなことがあったような懐かしさに心がザラつく。
その人にありがとうございますと頭を下げて急ぎ足で校舎に向かった。
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作者名:アルマジロ | 作成日時:2023年9月2日 9時