-Episode4- ページ5
静かに扉を閉め、二歩程歩いたところで止まった。
夜蛾「聞いていると思うが今日から一ヶ月、二年生に任務を同行して貰う事になった」
その場にいる三人の視線が私に向く。
夜蛾「近衛Aだ」
『階級は?』
夜蛾「階級は、四級」
『は、雑魚じゃん』
『やめないか』
夜蛾「Aは…」
「先生」
被せるように言葉を言う。
夜蛾「早速だが今から任務に出て貰う」
任務の内容を話している間に先程、渡された用紙に再び目を通す。
夏油傑、階級は特級。
呪霊操術。
五条悟。
あぁ、あの噂の六眼と五条家相伝の術式の抱き合わせか。
そして、家入硝子。
貴重な反転術式の使い手。
確かに入学早々に問題を起こしそうな三人だ。
一ヶ月間の子守りは果たして出来るのだろうか。
夜蛾「A、今の話を聞いていたか」
「別に私が任務の内容を把握する必要は無いのでは?そこにいる特級の二人が片付けて問題を起こさないように見るのが私が上から指示された事でしたよね?」
夜蛾「全く」
「それでは先に帳を下ろしておきます」
軽く頭を下げ、踵を返す前に五条悟を見ると興味が無いのか頬杖をついて外を見ていた。
人気の無い廊下を歩き、校舎の裏へと続く扉を開け外に出る。
袂に仕舞ってある漆黒の扇子を取り出す。
その場にしゃがみ扇子の先で地面を二、三回叩くと地面に黒い水溜りが出来上がった。
一歩前に足を踏み出した途端に落下する。
浮遊感に目を閉じた。
地に足が付く感覚に閉じている目をゆっくりと開けると今回の任務先である山奥へと到着している。
「闇より出でて闇より黒くその穢れを禊ぎ祓え」
赤黒い帳がゆっくりと下り出すと草木の間に隠れている低級の呪霊達が顔を出し始めた。
一旦、帳の外へ出て二人の到着を煙草を吸いながら待つ。
帰り、一緒に補助監督の運転する車に乗ってコンビニに寄って貰おう。
煙草が無くなった箱を握り締めながら思った。
今回の任務は、登山客の数名がこの辺りでここ数日で三人行方不明になっているから調査をして欲しいとの事。
「熊の可能性もあるのでは?」
車道に立っている熊出没注意の看板を見ながら呟いた。
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作者名:アルマジロ | 作成日時:2023年8月8日 22時