-Episode25- ページ26
「あたッ!」
額にデコピンが当たる。
家入「今のは見えてたんですか?」
「薄っすらと…?」
額を擦りながら言う。
昨日、あの後は特に弾んだ会話もなく各自寮へと戻った。
私は一睡も結局出来ないまま任務に出た為か自室に入った瞬間の記憶はかろうじて残っていたがそれ以降の記憶は無い。
どうやら私は玄関で倒れていたみたいで一年生三人に起こされた。
そして午前中は夜蛾先生は、出張の為自習を言い渡されていたが私達が自習するはずもなくグラウンドで体術をしていた。
今私は、数瞬先を読む術式を練習している。
五条「これで俺にデコピンされるの何回目だー?」
夏油「私のも含めると二十は越えているね」
五条「こんな地味な事よりも体術やろうぜ」
「もう少しで感覚掴めそうなんで休憩挟んだらもう一回お願いします」
蟀谷から落ちて来る汗を手の甲で拭いながら言う。
家入「はい」
「ありがとうございます」
水の入ったペットボトルを受け取りながら斜面になっている草の上に座った。
蓋を開け、水を一気飲みする。
夏油「どうしてそんなに複数呪式を持っているんです?」
隣に座った傑が言う。
「どうやら術式の引き継ぎが出来るみたいなんです。今やっている数瞬先の読みはこの体に与えられた術式でして…」
家入「じゃあ、沢山死んで生き返れば沢山の術式が手に入るって事ですよね?」
「ま、まァ…そうですね」
退屈そうに石を蹴っている五条悟を見る。
夏油「また何か悟に言われました?」
「あ、いえ」
五条「硝子ー、そいつは俺が死ねって言うまで死ねないから」
「「は?」」
両隣にいる二人の声が重なる。
五条「誰かの為に生きたいんだってよ。だったら俺で良くね?って」
夏油「悟ー、君は本当に後先を考えてそれをAちゃんに言ったのかい?」
家入「本当にあのクズでいいんですか?私にしときません?」
夏油「いや、私だな」
五条「俺に決まったんだから横取りすんなよ。近衛家は代々五条家に仕えてたみたいだしな」
家入「そうなんですか?」
「あ、えっと…近衛家は御三家を統括する家でして故に身分を隠して御三家内部に紛れ内部抗争などを阻止する為に仕えていました」
五条「んなことは今はどうでもいい!お前は五条家にいたんだったら俺のだ」
夏油「随分とAちゃんのこと気に入っているんだね」
五条「は、はァ!?誰がこんな奴!」
人に囲まれてこうやって話しをするのは幾年ぶりだろうか。
心地良い。
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作者名:アルマジロ | 作成日時:2023年8月8日 22時