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〜42話〜 ページ43

鞄から取り出したスマホの回数はここ数時間で数えきれない。

ロック画面には一切連絡が入っていないのを見て私はベンチで溜息をつく。

大輔さんは事務所に私宛に届いた台本や企業さんの資料説明とかをして帰って行った。

それから私は準備をしてデート予定の水族館の前にいた。

画面に表示されている時刻は17時半過ぎ。

水族館の閉館時間は20時。

辺りを見渡すと水族館の帰りだろうか恋人達の姿や家族連れが楽しそうに帰っている。

手に持っているスマホを握る手に力が入ってしまう。

祥太郎さんにメッセージの一つでも送ろう。

Aお疲れ様です お仕事終わりそうですか?

勿論、すぐに既読は付かない。

メールの確認をしていると画面に水滴が一つ落ちたので上を見上げると、重たい雲が頭上に広がっていた。

今日、天気予報で雨なんて降るって言ってなかったのに。

通り雨だと思いながら屋根のある、駅改札口へと避難した。

次第に雨は本降りになり傘を持っていない人達が私と同じ様に駅に避難してくる。

柱に寄り掛かりながら本降りになる雨を眺めているとスマホが震えた。

すぐに画面を確認すると大輔さんからのメッセージ。

大輔さん森久保さん来た?

Aいえ まだ来てません

大輔さん雨降ってるから風邪引かないように

Aはーい ママ

大輔さんママじゃありません パパと呼びなさい

このやり取りに少し気が休まる。

祥太郎さんのトーク画面を見るが既読はやっぱり付いていない。

ただ時間だけが過ぎていくだけ。

17時半過ぎだった時刻も気づけば18時半。

もうここに1時間もいる。

タクシーで帰ろうと土砂降りの雨の中に飛び込んだ。

可愛いって言って貰いたかったメイクも服も台無し。

デート出来るって期待してた私は馬鹿だ。

一度、ネガティブな事を考えだすと頭はそれで一杯になってしまう。

「私、駄目だなぁ」

どうせこんな雨だから誰にも聞こえていないでしょ。

「「A!」」

土砂降りの雨の中でもはっきりと私の耳に聞こえた私の名前に振り返る。

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ユリア(プロフ) - アルマジロさん、お返事ありがとうございます。これからも頑張ってください!応援してます(^▽^)/ (2022年12月29日 15時) (レス) id: 4dc59746f6 (このIDを非表示/違反報告)
アルマジロ(プロフ) - ユリアさん» 初めてまして!コメントありがとうございます。素敵な作品と言っていただけて作者とても嬉しい限りです!読んでくださってありがとうございました! (2022年12月28日 20時) (レス) id: b1fa09fe0f (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - とってもいいお話でした!この後の物語がどうなって行くのか色々と想像してしまいます!素敵な作品をありがとうございました(^▽^)/ (2022年12月25日 12時) (レス) @page46 id: 4dc59746f6 (このIDを非表示/違反報告)
アルマジロ(プロフ) - 豆腐さん» いつもコメントありがとうございます!これからも更新頑張りますので見て頂けたら嬉しいです!今後もよろしくお願いします。 (2022年6月16日 19時) (レス) id: b1fa09fe0f (このIDを非表示/違反報告)
豆腐(プロフ) - アルマジロさんが書く森久保さんや浪川さんのお話が大好きで更新される度にワクワクしながら読ませて頂いていました!次の作品も読ませていただきますが一先ずお疲れ様でした!! (2022年6月13日 20時) (レス) id: d034a9fa72 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アルマジロ | 作成日時:2021年12月28日 21時

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