〜8話〜 ページ9
少し開いた丸窓から入ってくる冷たい隙間風に目を覚ました。
太陽が昇ってすぐの時刻。
重たい瞼を擦りながらも船を出た。
柔らかい波の音を聞きながら人っ子一人いない砂浜を歩く。
「んーー！！」
背筋を伸ばしていると視界の端に輝く何かを見つけた。
輝きを放っている波打ち際に行くとそこには海水と一緒にゆらゆらと揺れている大きな実。
両手ですくい上げるように持ち上げると、実は海水を吸い込んだのかと疑うほどの淡青色をしていたる。
鼻を近づけても甘い匂いすらしない。
傍から見たら食欲が湧かなそうなソレを私は自然と口にしていた。
味がしない。
首を傾げながらも2口目を食べようと口を開けた。
ヤソ「A見張り台から丸見えだぜ 拾い食いする程腹減ってんな‥‥ら‥‥」
声を掛けて来たヤソップさんの顔色が段々と青ざめていく。
「ヤソップさん？」
ヤソ「お」
「お？」
ヤソ「お頭ーーーーー！！皆−−−−！！」
辺りで眠っていた海鳥が一斉に飛び立つ。
ヤソップさんに手を強く引かれてしまい、手に持っていた実が砂浜に落ちる。
落ちた実は砂浜の上で黒くなった。
その衝撃に私は゛死゛という文字が頭に過ぎって涙が溢れ出る。
嫌だ。
まだ、お頭達と冒険したい。
やだ、死にたくないよ。
視界が涙でぐちゃぐちゃになって上手く歩けなくて甲板でこけた。
ライム「朝早くからどうした…ってA！？」
すぐにライムさんが私の体を抱き上げて立たせてくれるが立てずに座り込んでしまう。
ホン「んだよ〜」
ルウ「飯の時間はもう少し後だぞ」
ヤソ「ちげェ！Aが悪魔の実を食っちまったんだよ！」
「「「…ぇぇぇええええええ！？！？」」」
ライム「く、食ったのか」
「「誰か図鑑持ってこい！！あっただろ！」」
とめどなく出ていた涙が皆の慌てように引っ込んでしまった。
「うん 私死んじゃうの？」
ホン「死ぬっていうか一生海に入れない体になっちまった」
海に入れない。
海賊として役に立たない＝赤髪海賊団から捨てられる。
「やだやだやだ！私を捨てないで！！！！」
その場で暴れだす。
シャン「朝から騒がしいなァ」
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作者名：アルマジロ
| 作成日時：2022年9月17日 23時
