〜35話〜 ページ36
「じゃあ ルウさん 食材冷蔵庫に入れておきますね！」
ルウ「頼んだ〜」
買い出しを終えて、軽いスキップをしながら食堂に向かった。
食材を冷蔵庫に入れて自室のベットに寝転がる。
ベット近くのテーブルに置いてある天体の本を手に取り、ページを開く。
暫くの間、読んでいると頭の中に声が響いた。
「「け・・・・て‥‥助けて‥」」
はっきりと助けてと聞こえた。
その声に、読んでいた本を投げ捨て部屋を飛び出した。
甲板に繋がる扉を蹴り飛ばし、走って柵から身を乗り出すと海に溺れている人影。
腰のポーチから望遠鏡を取り出して見る。
「ルフィ！！！」
望遠鏡を強く握り締めながら、船を降りる。
気持ちと自分の足が上手く嚙み合わなくて、港の石畳に転びそうになるが何とか体制を整えて駆けた。
足場の悪い砂浜に足を踏み込んだ時には、頭の中が真っ白になる。
大きな海王類が海から顔を出し、食らいついたのだ。
ルフィを抱いたお頭に。
「あ…あぁ‥‥」
ゆっくりと、海に近づく。
「お・か・し・ら？」
足に海水が触れると全身に力が入らなくなり、その場で座り込んでしまう。
両手で顔を覆って、零れ出す涙を受け止める。
シャン「おい泣くなよ 男だろ 安いもんだ 腕の1本ぐらい 無事でよかった」
お頭の声。
顔を上げた、涙で歪んだ世界にお頭の赤が見えた。
本来なら力が入らないはずなのに、私の体は海の中に入っていた。
冷たい海を必死に腕でかき分けてルフィを抱くお頭の元に向かう。
シャン「A悪い ルフィを頼む」
お頭の腕からルフィを受け取るがお頭の体が傾く。
空いている腕でお頭の腕を肩に回す。
涙が零れそうになるが必死に我慢して浜辺に上がるとすぐにホンゴウさんが来てくれる。
ホン「A 運んで飛べるか」
真剣な眼差しに頷き、私は麒麟の姿へと変わりお頭とホンゴウさんを背に乗せ船に戻った。
甲板に着地するのと同時に人の形に変わり、ホンゴウさんと一緒にお頭を医務室に運ぶ。
ホン「準備するから 止血を頼む」
「はい！」
血塗れになっている左腕の部分を破くと、痛々しい傷が顔を出す。
清潔な布で傷口近くを結ぶ。
シャン「っぐ」
痛みに唇を強く噛むお頭。
唇まで切られたら困る。
私は、咄嗟に自分の腕を噛ませた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 629人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アルマジロ
| 作成日時：2022年9月17日 23時
