〜14話〜 ページ15
ホン「ッチ！埒が明かねェ！！」
ルウ「お頭は！」
ホン「っかんねェよ！」
「「何！？1隻落ちた！？」」
突然、その場にいた海軍の動きが止まる。
「「はい！次々に！…ぎゃぁぁああああ！！」」
電伝虫から聞こえる悲鳴と微かに聞こえた落雷の様な音。
その音に見覚えがあった。
辺りに立ち込める土煙をかき分けて、甲板の柵から身を乗り出して落ちている望遠鏡で周囲を見渡す。
3時の方句に大きく燃える海軍の軍艦が2隻、いや3隻、4隻。
落雷の音が大きく聞こえると5隻目の軍艦が海に沈んでいくのが見える。
6隻目に目を向けると炎の中に血塗れで目で追うので背一杯の人物がいた。
「「中将！ヤツは赤髪海賊団幹部のAです！！」」
落ちている電伝虫から聞こえる声。
「「中将！撤退の指示を！！中‥‥」」
6隻目が落ちたと思えば、眩しい光がこちらに向かってくる。
「「わぁぁぁあああああ！！」」
真後ろで声が聞こえが聞こえ、恐る恐る振り返った。
Aの雷剣ユピテルは、刃が一般的な剣よりも分厚い。
どうして分厚いのかと手入れをしている時に聞いた事があったのを今思い出した。
相手の首を一刀両断出来るからとこれにしたと言っていたが、戦闘中で一度も首を斬り落としたことを見た事がなかったのに今、海軍の中将の首を両断し首を片手している。
首が無くなった胴体から噴き出る血を浴びながら次に狙う獲物を定めている目は獣だ。
仲間で良かったと心底思った。
こんな獣に勝てるはずない。
首が宙を舞う。
1歩、踏み出したと認識した時には一斉に血飛沫が上がった。
―――――――――――ゴロン。
俺の足元に首が落ちた。
落とした視線を前に向けた時には仲間以外は立っていなかった。
「「これが狂戦士ヴァレノーチェ家の血と魚人の血を混ぜて作られた強化人間の成れの果て…か」」
失血で死にそうな海軍の1人が呟く。
この戦いを終わらせるかのように雨が降り出した。
Aはただ上を見上げて、泣いていた。
血の涙を流して。
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作者名：アルマジロ
| 作成日時：2022年9月17日 23時
