〜15話〜 ページ16
痛々しく巻かれた包帯、真新しい傷の数々を見ているだけで胸が張り裂けそうな気持ちになる。
もうお頭が目を覚まさなくて3日が経つ。
ホンゴウさんが言うには目を覚まして良いころ合いだと言っていたのに一向に目を覚ます気配はない。
どうしてお頭は私を庇って‥‥。
ホン「おい 診察の邪魔だ 寝ろ」
「嫌です」
―――――――――ガタンッ。
胸倉を掴まれると座っていた椅子が倒れる。
ホン「何日寝てねェんだよ」
「今‥お頭の傍から離れたくないんです」
ホン「人手が足りてねェのにお前までぶっ倒れるなんて面倒って言ってんだよ！」
ホンゴウさんの右手が大きく上がる。
何も抵抗せずにその拳を左頬に受けた。
口の中が切れて血の味がする。
痛いはずなのに痛いって言葉が出て来ないぐらい痛覚がまだ鈍っているようだ。
ヤソ「ホンゴウ！手を貸せ！また海軍の奴らが追っかけて来やがった」
ホン「ッチ 他の奴らは」
ヤソ「‥‥疲労しちまってる」
悔しそうに唇を噛み締めるヤソップさん。
ホン「動くなよ」
「このまま尻尾を巻いて逃げるって言うんですか！」
今度は私がホンゴウさんの襟元を掴む。
大砲の音が聞こえると船が大きく揺れる。
ウタ「シャンクス？」
幼い声が聞こえ、視線を向けると扉を少し開けてそこから覗いているウタの姿があった。
「ウタ」
ウタ「ねェ シャンクスは目を覚ますんだよね」
目に溜まった大きな涙の雫が今にでも瞳から零れ落ちそうだ。
お頭を庇っていればこの状況を作らなかった。
私のせいだ。
ウタの小さな体を壊さないように抱きしめる。
ウタ「A？」
「私が食い止めます」
無視して部屋を出て行こうとすると手首を掴まれた。
ホン「その体で何が出来るんだよ！なァ！」
ヤソ「ホンゴウ 行かせてやれ」
ホン「ッ‥‥大切な家族を死に行かせる事なんてできねェよ」
弱々しく呟かれた一言に振り返ると、ホンゴウさんは泣いていた。
「帰って来ます」
ただ、それだけを呟いてホンゴウさんの手を振り切り部屋を出た。
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作者名：アルマジロ
| 作成日時：2022年9月17日 23時
