〜24話〜 ページ25
先にお頭が立ち上がる。
シャン「A？」
なかなか立ち上がらないお頭が不思議そうに私を見つめる。
「す、すみません」
すぐに手を握り立つと足に激痛が走りふらついたところをお頭が抱きしめてくれた。
シャン「痛むのか」
雨があまり当たらない木の根元に座り、雨で重くなったパンツの裾をブーツから出してブーツを脱ぐ。
赤黒くなっている足首。
「折れてますね‥…ッ！」
その辺りに落ちていた枝を足に当てられて、お頭が腰に巻いている布で巻かれる。
痛みに歯を喰いしばっていると体が浮く。
シャン「相変わらず軽いな」
「マキノさんの美味しいご飯を食べていますから平均かと…」
空が光った。
暫くすると稲妻が走り、落雷の音が近くで聞こえる。
「お頭 あそこ」
指を差した方向には大きな洞窟の穴。
そこに一時的に逃げ込む。
地面に降ろされる。
お頭は辺りに落ちている草木を集め始めた。
目の前に山になった草木に私は能力を使って、火を起こす。
小さな火種はやがて大きな火へと変わり冷え切った私達を温めてくれる。
両手を焚火に向けているとお頭の手が私の肩に回った。
船でお酒を飲んだ時もこうされてたっけ。
自然と頭をお頭にもたれるとその上にお頭の頭が乗る。
静かに雨を止むのを待つ。
―――――――――ザッ。
足音に瞑っていた目を開けた。
シャン「何かいるな」
お頭はサーベルを手にする。
視線は暗い洞窟の先。
「任せて下さい」
手の平から光る球体を出す。
それはゆらゆらと揺れながら奥に進む。
暗闇を照らすとそこには1匹の大きな鹿。
「熊じゃなくて良かったですね」
鹿に手招きをするとゆっくりとこちらに近づいてくると私達の後ろに回り込んで座った。
まるで自分を背もたれにして良いと言わんばかりに。
「ありがとう」
角の生えた頭を撫でると耳が動く。
シャン「温かいな」
「はい とても」
火の粉が上がる焚火の音が心地良くて眠ってしまった。
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作者名：アルマジロ
| 作成日時：2022年9月17日 23時
