〜19話〜 ページ20
森久保「あのさ 作ってくれた飯」
「あ…」
きっときちんとした食事を毎日取れていないだろうと作っておいたのだがお口に合わなかったのだろうか。
森久保「あんな飯いつも作ってんの？」
「はい お師匠にご飯だけはしっかり食べんと元気が出ないぞって言われたので」
森久保「俺 久しぶりにあんな美味い飯食えて嬉しかった ありがとう」
「いえ お口に合って良かったです」
森久保「何か俺気に障る様な事言った？」
「先程の話に戻ってもいいでしょうか」
私がそういうと森久保さんは羊羹を口に入れるのを辞めた。
「私がこの職人になった理由は‥‥亡くなった友人の為なんです」
この話はどうしてか森久保さんにはしておきたかった。
「友人は小さい頃から自分の弦楽器を作りたいって言ってここに入る事も決まっていたんです でも交通事故で帰らぬ人になりました」
あの時の記憶が思い浮かぶ。
その日は雨で少し気分が乗らなかったが2人でお酒を呑みに行って私を駅に送ってくれた後に事故にあった。
運転手の男は私達と変わらない年齢。
原因はスマホ。
自宅に着いてから掛かって来た電話に頭が真っ白になったがすぐに私の足は病院へと向かっていた。
着いた病院には友人の両親、同じ大学の子そして車に乗っていた男。
私は男を殴るなんて気持ちにはならなかった。
まず、最初にしたのは友人の両親に土下座。
私とお酒なんて呑みにいかなければ、私を駅に送らなければこんな事にはならなかった。
怒りの涙、悲しみの涙では無く後悔の涙が溢れ出た。
「「Aちゃん あの子が貴方宛てに作った物よ」」
お通夜が終わった後に両親から貰った物はアコギだった。
「「
「「あの子ね 佐久間が言ってくれた言葉に動かされたんだって言ってたの」」
この時、どの言葉が友人の心を動かしたのか分からなかった。
「「拓斗が作った楽器は死んでも残るんだよ それって凄くない？ この言葉に息子は動かされたらしいんだ 今まさに息子はここにいる」」
震えた手で持っているハードケースを見つめそして大好きだった友人の両親に向かって私はこう言った。
「私が遺志を引き継ぎます 沢山の弦楽器を作って拓斗の夢を叶えます」
私がそう言うと拓斗の両親は笑って泣いて「ありがとう」と言ってくれた。
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アルマジロ(プロフ) - 豆腐さん» コメントありがとうございます!また森久保さんの話書こうと思っているので是非見て下さったら嬉しいです！これからも頑張ります！！ (2021年11月4日 17時) (
レス) id: b1fa09fe0f (このIDを非表示/違反報告)
豆腐(プロフ) - とっても面白くて浪川さんの作品からいつも更新を楽しみにしていました！！リクエストというほどでは無いですが森久保さんが大好きなのでいつかまた書いて下さったら嬉しいです。今後も応援しています！ (2021年11月4日 0時) (レス) id: a5eec28c4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アルマジロ
| 作成日時：2021年10月2日 22時
