【第十八訓】覚悟 ページ25
土「特別任務だ」
『ん、なぁに』
膝の上に頭を乗せていた総悟がそっと身体を起こしトシの次の言葉を待つ。
土「武州への荷物の輸送は幕府が管理している。どの時間どの場所を通りどの地域へ配送されるのか。それが詳しくわかるのは管理をしている幕府のみだ。だが犯行グループはいつも必ず貨物車がくる時間も場所も正確に当て犯行を繰り返している。これがどういう意味かわかるか?」
幕府しか知りえない情報を知ることが出来るのは…
『内部の人間。ね。』
土「あぁ。零には内部に潜り裏切り者の捜索にあたってほしい」
沖「ちょっと待ちなせィ。潜入ならザキ達がいるじゃねぇですかぃ。なんでAさんたち零にやらせるんでさァ。」
『ただの潜入なら零は動かさない、'ただの潜入'なら。……殺せってことだろ?』
小さく笑いつつトシを見れば苦虫を噛み潰したような顔をしながら頷いた。
土「貨物車が襲われるっつーことはその度に中のもんがダメになっちまう。つまりその度に幕府も損害を受けてるってことだ。幕府に損害を与えるようなことをするやつは幕府にとっても邪魔でしかない。」
沖「邪魔ならさっさと殺しちまおうってことですかィ。」
『そ。でも自分達の手は汚したくないしそもそも潜入捜査なんて技術も能力もない。そこで丁度武州を襲われて腹が立ってる真選組に片付けさせようって事だろ。』
土「任務が失敗すればその責任はうちに押し付けてそのまま兼ねてより邪魔だったうちを潰しちまおうって魂胆だろうよ。」
『相変わらず上の考えてる事は黒くてきたねぇなぁ。』
笑いながら立ち上がり支度をする。俺の部屋は基本的に何も無い。あるのは仕事の時に使う机と筆記用具。隊服。そして愛刀だけだ。
理由は一つ、零はいつ死んでもおかしくない部隊だからだ。死んだ後遺品を受け取ってくれる家族なんてもんは俺にはいない。俺のことをよく思ってくれている此処の奴らに俺の荷物を処分させるなんてのも酷だろう。だからモノは増やさないのだ。この話を総悟にした時、泣いてたっけ。たしかあの時は酔っ払ってて「絶対死なせやせん!!」なんて叫びながら抱きつかれたっけなあ。真選組はある意味で俺の家族だ。家だ。だから絶対に潰させやしねぇ。此処は俺が守る。
そんな決意をしながら『大丈夫だよ』なんて言いながら笑った。そんな俺をトシと総悟はやけに心配そうに見ていた。
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おと姫と愉快なサカナたち(プロフ) - 見廻組の零番隊隊長さんとの絡みもっと欲しいです! (2020年2月12日 21時) (レス) id: e21618e8ed (このIDを非表示/違反報告)
りう(プロフ) - 魅力さん» R18の短編の方で書かせていただきますね。リクエストありがとうございます。 (2018年6月6日 8時) (レス) id: c9b32175c1 (このIDを非表示/違反報告)
魅力 - 神威と本番やって! (2018年6月3日 9時) (レス) id: 0d61db9448 (このIDを非表示/違反報告)
りう(プロフ) - こんぺーとーさん» 遅ばせながら更新させていただきました!これからもご愛読いただければと思います! (2018年5月28日 12時) (レス) id: c9b32175c1 (このIDを非表示/違反報告)
りう(プロフ) - 絢さん» 御返事遅くなってしまい申し訳ございません!ありがとうございます! (2018年5月28日 12時) (レス) id: c9b32175c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りう | 作成日時:2017年8月2日 21時