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いらない ページ50





side 柳田




Aから聞く話は、苦しいものだった。

チームのために、と彼女が選んだ道は彼女自身を苦しめ、誰のせいにもできないから、溜め込んで溜め込んで崩れていったと。




「大学では、みんな認めてくれました。それも私のいいところだって。

分析とか、どれだけやっても何も言われませんでした」

柳田「じゃあ、大学では上手くいってたんだ」

「…」

柳田「…ひとつ聞いていい?なんで、そんな力があるのに、プロに進もうと思わなかったの?」




少しだけ沈黙。

そして彼女は口を開いて、「男子のバレーが好きだったから」と言った。

パワーと活気に溢れて、仲間を信頼しあってる、男子特有の感じが好きらしい。

男子は、嫌なところがあったら言い合うけど、女子は影で聞こえないように言う。それが嫌だったと。




「プロの方はそんなことないって、わかってはいるんですけどやっぱり、怖くて」

柳田「…」

「大学のチームメイトは、私のトスを信頼してくれていました。

だけど、私のことを影で話していたのは何度か聞いたことがあったから…。

また、そんなことがあったら、もう私は…」




それならもういっそのこと、バレーから離れてしまおうと、15年間続けたバレーをやめたらしい。

そして彼女は続けた。

なんとなく過ぎていたある日、ジムに中田監督が現れたそうだ。

そして、監督自ら、力を貸してほしいと頭を下げてきたと。




「驚きました。まさかこんな私を知っていて、しかも力を借りたいって言ってくださった。

最初は怖かったけど、全日本のみなさんが必要としてくださるから、毎日が楽しかった」




目立たないセッターを、中田監督は知っていた。

そしてその情報量と分析力を買われ、彼女はここにやってきた。




「こんな話、今するようなことではないと思うんですけど、でも、今だから言います。

私が今まで集めてきた情報とそれの分析は、きっとみなさんを救います。

だからどうか、無駄にしないでください。

…いらないって、言わないでほしい、です」




それは、自分自身のことも言ってるように聞こえた。

情報は必要とされてても、彼女自身は必要とされなかったことを。

それが俺たちに火をつけた。




福澤「言うわけねぇだろ。今までのAちゃんの努力を、俺らは知ってる」

柳田「そうだぞ…A、俺らを信じろ」




彼女が涙を隠すように目頭を押さえる。

「はいっ」と言ったAは、なによりも綺麗だった。



全日本男子のW杯が始まる。




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エマりん - 読んだら感想を仲良し芸能界で! (2020年2月9日 7時) (レス) id: fd98254018 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - エマりんさん» ありがとうございます!はい、読みたいです! (2020年2月9日 7時) (レス) id: a7ed6a47fc (このIDを非表示/違反報告)
エマりん - 貴方の作品を見てみてすごいと思いました!だから私の作品も見てほしいなぁって思いました…読んでくれる?作品名は仲良し芸能界です!高評価お願い! (2020年2月9日 7時) (レス) id: fd98254018 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - エマりんさん» ありがとうございます!!はい!ぜひ!友達申請お待ちしております!! (2020年2月9日 7時) (レス) id: a7ed6a47fc (このIDを非表示/違反報告)
エマりん - めちゃくちゃ良かったです!友達になりませんか? (2020年2月9日 7時) (レス) id: fd98254018 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年10月23日 21時

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