42話 ページ44
武智から金を受け取ってから一週間後＿
私は全ての準備を終え何食わぬ顔で帰宅していた
胸ポケットには護身用のスタンガンが入っている
いつ襲われても対応できるようにしていたつもりだった
しかし＿＿
「……ｯ?!」
近道を通ろうと路地裏に出た瞬間、
誰かに腕を捕まれた
「ちょっ、何?!誰?!」
スタンガンに手を伸ばそうにも、その手が押さえつけられてしまってはいてはどうにもならない
足の間に入った誰かの足が邪魔して身動きも出来ない
＿＿早く家に帰ろうとして近道を通ったのが裏目に出たか…!
「離して!!離しなさいよ!!」
それでも力の限り叫んだ
喉がいきり立って悲鳴をあげる
誰かが気付いてくれれば…ｯ
視界の端に映ったのは、高そうな革靴
酷く見覚えがあった
「い゛ｯ…!!」
ｽﾞｷﾞｯと激しい痛みが左肩に走った
ドロドロとした生暖かい液体が
Ｙシャツの下を伝って脇腹にまで流れる
揺らぐ視界の中で唯一聞こえたのは
「……よくやった、武智
依頼通り此奴は始末しておく」
喜志の、声だった
私は担ぎ込まれて車に乗せられた
シートベルトを締められ
手首に手錠を付けられ
アイマスクを付けられる
左肩から流れる血はなかなか止まらなかった
ナイフで刺されたことなど、1度もない
痛みに免疫はなかった
頭がクラクラする
途端、アイマスクが外された
突然視界に入ってきた蛍光灯の明かりで
目が焼けそうになる
それでも私の目は
しっかりと
彼の姿を捉えていた
「やぁ、久しぶりだねレイナ
・
・
いや、大河Aちゃん」
「喜志……正臣、」
放置された髭
ボサボサの髪
細くて切れ長の目
薄い唇がゆっくりと弧を描く
「おいおい、前は俺のこと”喜志さん”って呼んで
随分慕ってくれてたじゃんか
…あー、それも演技だったのか」
なぜ
「学校では演劇部エースなんだって?
もう進路も決まってて
景山澪奈に並ぶ美女だなんて持て囃されて
高嶺の花やってたらしいじゃん」
なぜ
「探したよ、お前のこと
2ヶ月も掛かったけど…
いや、それにしても嘘が上手いな
まさか俺らが必死こいて探してた19歳の陰山玲奈が
年齢も経歴も名前も詐称してただなんて思いもしなかった」
なぜ
「なぜ、知ってる…?」
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理音(プロフ) - 続き気になります！更新楽しみにしています！応援してます！！ (2022年8月23日 17時) (
レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
葉紅(プロフ) - もう更新しないんでしょうか？すごく面白いので続きが見たいです。続編と物語の更新楽しみにして待っています (2020年9月27日 0時) (レス) id: 915a610475 (このIDを非表示/違反報告)
蒼炎 - ヤバイですね！まさかの共犯になるなんて…！面白いです！更新待ってます！ (2020年1月24日 23時) (レス) id: 874e279780 (このIDを非表示/違反報告)
ちーかま - すっご.....。作者様、絶対頭良いやん.....。 (2019年3月16日 10時) (レス) id: 8f9925b559 (このIDを非表示/違反報告)
ナナたん - 超大作ですね！ (2019年3月15日 20時) (レス) id: 0ab40017a4 (このIDを非表示/違反報告)
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