イナギャラ〜厨二病っぽい彼女は、あの人の妹でした〜

３６話の氷漬け ページ38

そしてまた、相手が私たちのゴールへと攻め込んでくる。



「決めろオクタ！」


「＿＿メガロドン！」


「！ここで失点したら…」



「終わらせてたまるか！」


「！」


ゴールへ向けて飛んでくるシュートを、井吹は正面から待ち構えている。…きっと、きっと大丈夫だ。


「＿＿＿ワイルドダンクッ！」




「「！」」


「止めた…っ！」


私のそんな願いなどは関係ないだろうが、井吹はしっかりとシュートを止めた。もうすっかり頼りになる、私たちのキーパーだ。


「もたもたするな！速攻だ！」


「！」


だが神童が声を上げた時には、もう私たちの殆どが相手にマークされていた。

フリーなのは、…さくらだけだ。



「野咲！」


「はい！」


「こっちだ！」


パスは上手く回っていき、今度は瞬木が相手ゴールへ向かっていく。


「俺も負けてられるか！」

「！」


「＿＿パルクールアタック！」


「くっ……！」


相手のキーパーはその目にも止まらぬ速さのシュートに追いつけず、それは私たちの追加点となった。


『すごいな…』

「ああ、すごいよ、瞬木！」

「やるじゃねえか！」


あと一点。…あと一点で、勝負が決まる。


＊


「…やっぱり、一番にならなきゃ……」

『……？』


「さくら！」

「サックアウト！」


私たちの誰かがボールを持てば、囲まれて、奪われてしまう。…そんな時、何かを思いついたようにさくらが声を上げた


「…！そうだ、神童さん！神のタクトを！」

「！何を考えているんだ！」

「前よりも高く！絶対に決めて見せます！」


『っ、そうか…高さで相手を上回れば……』


こちらを囲みにやってくる相手の上を取れば、ボールを奪われることはない


「神童さん！」

「行けます、さくらなら絶対！」


「…わかった。いくぞ、＿＿神のタクトFI！」

「…！」


さくらは指し示されるまま、高く、跳んだ。

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