イナギャラ〜厨二病っぽい彼女は、あの人の妹でした〜

３５話の氷漬け ページ37

しかし私たちは、あと二点。あと二点取らなければいけない。


「神童！」


「ナイスパス、井吹！」


「行かせない！」


「！…プレストターン！天馬！」

「！」


だが、このキャプテンへのパスもまた、さくらに取られてしまう。


「野咲…！」

「誰よりも早く結果を出さなきゃ…だったら、やってやるわ！必殺技！」

『……』



＊

そして今度は、剣城から好葉へとパスが渡る


「好葉！」


「っ……」


「「きゃあっ！」」


『…！』

だがそのパスを受けた好葉に、さくらが向かっていき、二人が思い切りぶつかってしまった。
跳ね飛ばされてしまった好葉の元へ駆け寄り、手を差し伸べる。


『…大丈夫？』


「ぁ、ありがとう…、……ひっ、」

「……」


「あ、あの…」


好葉はすっかり怯えてしまったようで、小刻みに震えている。…さくらにも事情があるのだろうが、これでは好葉が可愛そうだ。



「…悪いのは私なの」


「！」

「さっきからなんか…、めまいがして…」


「！そっか…だからさくらさん練習のような調子が出なかったんだ…」


「みんなに迷惑かけちゃって…、本当にごめんなさい」

…本当に、それだけなのだろうか。



『…さくら、大丈夫か？さっきから何か、気にしているみたいだから……』

「A…、……うん、ちょっとね。パパとママが見に来てるから、…緊張しちゃって」


『…、そうか』

…応援、しているんだろうな。さくらのことを。羨ましい、と。ほんの少し、そう思ってしまうけれど。



「天馬！刹那！ポジションにつくぞ！」


「！はい！」

『……』


＊



「瞬木！」


「行かせるか！」

「！またそれか！」



「サックアウト！」


「うわああぁ！」


「我々に負けは許されない！キーパ−以外全員上がるんだ！」



「「おう！」」


…あのタクティクスを破ることができなければ、やはり勝てないのだろうか。

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