イナギャラ〜厨二病っぽい彼女は、あの人の妹でした〜

１３話の氷漬け ページ14

そして次の日は、アジア予選最初の対戦相手の説明を受けた。

ディフェンス、オフェンスにわかれて、それぞれの練習メニューで練習、だそうだ。
私のやることを簡潔に言えば、ボールをキープする、もしくはボールを奪う…その程度だろう。

ようやくボールを使った練習が出来ることに、うずうずしている。
…私ではなく、兄さんが。



『…キャプテン、相手してくれるか？』

「あぁ、もちろんいいよ！」


『…ありがとう。じゃあ…キープしてるから、取ってくれ』

「よし…行くよ！」


首元のマフラーにそっとを添えて、此方へ向かってくるキャプテンをじっと見据える。


『＿＿＿よろしくね、兄さん』

「っ！これはあの時の…」


『ふっ…さぁ、来い！どこからでもかかってきな！』

「！…行くよ！」


…そういうと松風は、オレに向って真っ直ぐ走ってくる。見るからに此奴の性格そのもののプレーだ。

もちろん、オレはそれを跳ねて避けたわけだが。


『…そんなんじゃ無理だぜ？イナズマジャパンのキャプテンさんよぉ』

「くっ…負けるもんか！」


それを幾度と繰り返しながらも、尚も諦めることなく向かってくる姿は彼奴に似ていた。
気持ちがいいくらい、真っ直ぐなやつ。


『へぇ…、根性あるじゃねえか』


「へっ？…うわっ！？」


ボールを勢いよく蹴りあげた時、こっちへ向かってきてた松風は派手に転んでしまったらしい。…鈍臭いのか？と、思ってしまったことは否定できない。



『あ…、ごめん、大丈夫か？』

私が差し出した手を取ったキャプテンの表情は、何やらきらきらと輝いて見えた。…楽しかったんだろうか、兄さんとの勝負。


「大丈夫！でもやっぱり凄いね、刹那は！』


『……そんなことない。あれは、兄さんのおかげだ』

「……？」

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