眠りの王子に花束を。【朔間凛月誕】 (ページ1)

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隠し事ページ1

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いつも通り、幼馴染みの衣更真緒に背負われて、彼は学院に登校してきた。眠そうに目を擦りながら、大きな欠伸をし「おはよ～」とAに声をかける。その声に明らかな動揺を見せながら、「お、おはよう」と彼に声をかけた。不審な態度に、違和感を覚え、彼女の顔をじっと見つめる。

今日は、彼、朔間凛月のサプライズパーティーを企画しているのだ。

この日のために、彼女はKnightsのメンバーと計画を練っていたのだ。いざ、当日になると彼にバレないように隠すので精一杯だ。元々、嘘をつくのが苦手な彼女は、浮き足立ったままずっと目が泳いでいた。何かある事を察した衣更は、気を利かせて、凛月のことをその場から離れさせようとしてくれた。

「ねぇ、なにか隠してない～？」

「な、何も隠してないよ？」

本当に隠し事が下手である。あからさまな態度に不満を感じながらも、渋々と彼女のそばを離れていった。凛月がいなくなったことを確認すると、大きなため息をついた。放課後までやり通せるのか心配であった。

時々感じられる凛月の視線を、避けながらやっと放課後になった。瀬名や鳴上には、「嘘つくの下手」と一蹴されてしまった。どんな顔をしてくれるのか、彼女は楽しみであった。

レッスンの予定の時間になっても、相変わらずやって来ない凛月を呼びに行くのは、彼女の役目である。教室を覗けば、すやすやと寝息を立て、気持ちよさそうに寝ているのであった。可愛らしい寝顔にきゅんとなる気持ちを抑え、彼のことを起こす。

「起きて、レッスンの時間だよ」

「ん～、めんどくさい～……」

なんて言いながらも、体を起こしてくれる。そして、今朝と同じように彼女の顔をじっと見た。「そういえばさ、」と不満そうに口を尖らせて何かを告げようとする。けれども、「なんでもない」と言ってそっぽを向いてしまった。いつもならここで謝るのだが、今日は謝らない。そのまま彼の手を引いて、いつもの場所へと連れていく。