眠りの王子に花束を。【朔間凛月誕】 (ページ6)

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俺にはあんただけでいいの. ページ6

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『誕生日プレゼント、なにがいいかな』

俺の隣に座るAはそう言いながら
両手を空へと伸ばしてふわぁ、と欠伸をした。

「俺が欲しいのはAだけなんだけど」

ん、と言いながら俺は照れて
顔を赤くするAに腕を広げる。

照れながらゆっくり俺の腕に包まれた、
可愛いとか言えないけど本当は思ってるよ。

今日の空はやけに青が透き通っている。
まるで絵画のような_地球を美しく魅せるデジタルの世界みたいで切ない。

その青を背景にするように彼女がいる。
この腕に収まっている、離れないでって。

突拍子に強い風が吹いたり
この腕を俺が開いたら彼女が何処か行ってしまう、そんな有り得もしないことを考えてしまうのはきっと。

きっと不安だからなのだ。

Aは学院みんなから人気者だ。

女の子が1人だから、それだけが理由じゃない。
努力家なところ、なによりも俺たち想いなところ。惚れる理由なんて幾らでもある。

きっとみんなの誕生日にはプレゼントを送っているだろう。

俺だけの特別じゃない。

俺の彼女になってくれたって、現は抜かせないままだ。

兄者はもちろん、ま～くんだってAのことが好きなんだもんね。

「俺の誕生日には、好きって言ってね」

こんな恥ずかしい本音には仮眠が似合う。

いつも通りの平気そうな笑顔を向けた後に、恥ずかしさを隠して彼女の膝に頭を乗せて瞼を閉じた。

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