【d!】忘失 (ページ31)

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30話ページ31

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悲鳴にも近い声と、金属の交わる音。

そして、銃声。

スコープから覗いたその景色。

命をかけて戦う兵士達が、

自分の持つ武器を最大限に活かして人の命を狩る兵士達が、そこにはいた。

“平和”

そういう言葉とはかけ離れたこの状況。

俺もそこに混じる1人で、引き金を引けば簡単に、狙った相手は事切れて倒れていく。

同じように何人かの命を狩り、居場所がバレて狙われる前に次のポイントへ移動する。

機械作業のように、撃っては移動を繰り返す。

今回も勝てるやろ。

その慢心が命をも危険に晒すということは知っている。

油断はせず、敵の油断は見逃さず。

残虐な行為だと罵る人もいるかもしれない。

冷酷で人間味のない奴だと言うわれていたかもしれない。

でも、認めてくれる仲間がいたから、そんなこと言われようが何だろうがどうでもよかった。

俺は、軍人としての仕事が好きだった。

でも、この仕事柄、仲間が何時までも当たり前のようにそばに居ることは無いんだと、俺はその日思い知った。

白い雪が赤で染まっていく。

その光景を、俺はこの命が尽きるまで忘れられないだろう。

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