【d!】忘失 (ページ25)

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24話ページ25

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「ねぇ、一緒に陸上部入らない？」

「私と一緒にバスケ部見に行こうよ」

「バレー向いてると思うよ？行かない？」

運動部に入部予定の女子生徒に囲まれる1人の生徒…………。

そう、私だ。

普段なら私なんて気にもとめないクラスの女子が、今日は何故か私の席の周りに群がっている。

私もこれにはビックリ。

心当たりが無い訳でもないが、ここまでなるとは思っていなかった。

そう言えば、今日から仮入部が始まるとか何とか、先生が言ってたなぁ。

『あー、ごめん。私、部活入る気なくて……』

「え！？！？！？勿体ないよ！そんなに運動神経良いのに！！！」

嗚呼、なるほど。

薄々分かってはいたが、今の一言で確信した。

今日の体力テストのせいだ。

このクラスで……否、学年で、だろうか。
ぶっちぎりで運動能力が高かったのが私だから、こんなに誘われている…んだと思う。

一緒に行く人いないし、とりあえずこの子誘っとこ的なヤツなんだろうな。知らないけど。

まあ、確かに体力には自信がある。
何年も軍人やってきたワケだし。

………小さい頃、何に影響された訳でもなく、朝走りに行ったり、色んなスポーツに手を出す私を見て、両親は何を思ったんだろ。

「Aー！ちょっとええかー？」

教室の外から聞こえた、よく通る声。

数日ぶりに聞く、彼の声。

『…あ、ごめん。呼ばれたから行くね？
部活の件、考えとく』

快く…かどうかはちょっと分からないが、私を見送ってくれる彼女達の視線を背に、廊下に出る。

廊下も廊下で、沢山人がいて賑わっていた。

『どうしたんですか、コネシマさん』

私を呼びに来たコネシマさんは、私の言葉に、困ったように「あー…」なんて声を発す。

なんだろう。用なんて無かったのかな。

それとも、ここだと言いづらい事なのか。

「いやぁ？チーノに用があって来たんやけど、ふとお前の教室見たら、なんか困ってそうやったから……？」

『あ、バレてました？ｗ』

「愛想笑いかそうやないかくらい見分けつくわ！」

『あそこから抜け出せて助かりました。ありがとうございます』

「目立つの早ない？何してん？」

『体力テストで目立ってしまったらしく……』

なるほど！と頷く彼は相変わらず喧しい。

でも、何だかんだ人のことちゃんと見てくれていて、困ってたら声かけてくれるようなとこ、良い奴だなって思う。