【d!】忘失 (ページ3)

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2話ページ3

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時は巡り、桜が満開を迎える今日この頃。

人生とは早いもので、もう高校生。

“高校生にしては大人びてる”

そんな言葉を何回も言われてきた。

当たり前だろ。
人生は2度目なんだから。

前世の世界より技術は進み、より深く広く知識を得られると言うのは面白い。

これはあの教授が見たらテンション上がるだろうな。

貼られていたクラス表を見ると、どうやら私は4組らしい。

自分の中前を見つけるのに時間がかからなくて済んだから良かった。

この学校は生徒数が多すぎる。

幸い、早めに来たおかげで人は1人もいない。

人混みの中でクラス表見るとか大変だからなぁ。早く来て正解だった。

脳内で地図を作りながら、学校の敷地内を歩く。

さすが私立。広い大きい……。

場所覚えるまで時間がかかるかもしれないな。

下駄箱に向かえば、これまた立派な校舎への入口が見えた。

ふと、下駄箱に目を向けると、見たことのあるような後ろ姿が視界に写った。

……私が彼を、見間違うはずがない。

なんでこんな所に？

今世でも、彼とは同い年なのか？

彼がいるということは、他の人たちもいるということ……？

見つめすぎていたのか。
彼と視線が交わった。

彼は少し驚いたような顔をした後に、怪訝そうな顔を見せた。

そして、そのまま素早く上靴を履き、早足で去ってしまった。

察してしまった。
気づきたくなかった。

彼は、私と同じような前世の記憶を持っていない。

もし持っていたとすれば、あからさまに嫌そうな態度はとられなかったはずだ。

だって、私は服装は制服であるものの、容姿は何一つ前世と変わっていないのだから。

あわよくば、覚えていて欲しいと何年思い続けていたことか。

そもそも、覚えてる方が稀だ。奇跡だ。

全員が記憶を持っているなんて奇跡、起こるはずがないんだ。

分かってる。分かってた。

けど、それを目の当たりにすると、やっぱり寂しい。

ここで彼をまた見ることが出来た。それさえも奇跡なのに。

それ以上を望むのは、強欲すぎる。

…………もし、奇跡が起こるなら、
彼らともう1度、笑い合いたい。
対等な関係でいさせて欲しい。

なんて。
前世で人を何十、何百と殺めてきた私の願いなんて、神は叶えてくれないだろうか。