【d!】忘失 (ページ11)

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10話ページ11

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朝の暖かい光と、心地よい電車の揺れ。

立っているおかげでさほど眠くはないが、席に座れていたら寝ていたかもしれない。

周りの乗客を見渡して、ふと考える。

この平和な世界では、この歳で戦わなければいけない状況に立たされることも、家族が兵として使われることも無い。

……数十年前はあったらしいが。

戦争ばかりしていた私からすれば、この世界は少し物足りない気も…しなくはないが、平和なのはいい事だよな。

朝からなんてこと考えてるんだ私は。

さて、話を変えよう。

学校にショッピ君がいた。

しかも、生徒会長は我らが総統閣下、グルッペンさんだ。

これはもしかしなくても、全員揃ってたりするのでは……？

そうなると大問題だ。

理由は単純。私が辛いから。

彼奴らには記憶が無い。……会ってない人は知らないが。

仮に全員に記憶が無かったとしよう。

そうなると、また前のように……なんてのは流石に無理な話。

何故なら、彼らはそこらの女を仲間として認めることは少ないから。無いわけでは無い。

ただ、当たり前だが自ら関わろうとしない。

接触することは簡単かもしれないが、仲のいい関係になるのは無理だろう。

しかも、記憶が無いなら前世のように同じ仲間として接してくれることは無いだろうし。

私が前世、彼等の仲間、幹部になれたキッカケは、元々シャオロンの知り合いだったから。

それが無ければ私はあの軍に入ってたなんてことは…否、軍にさえ入ろうとしなかっただろう。

革命を起こすために、グルッペンさんに着いていくことなんて無かっただろう。

……まあ、過去の話はこれくらいにしておいて、

問題は今世だ。

私は彼等と現時点で知り合いなんてことは無い。赤の他人だ。

彼等が記憶を持っていない限り、また一緒に〜なんて夢のまた夢。

近づいてみようなんて思っても、そこらにいる媚びを売ってくる女子と同じ扱いをされそう。それだけは嫌だ。私の心が折れる。

じゃあ、どうするか…………。

………………見守ってるだけで、幸せだろ。

きっと彼等は、……私なんかがいなくたって平気だろうし。

幸せそうな彼等が見れれば、それで十分じゃないか。