【utit】坂田さん、私、坂田家なんですが、すみません。今日、死にますね【tnrnskt.】

死ぬまで残りーー ページ31

落ちていく光景は、まるでスローモーションのようにゆっくりだった。
にぃちゃんがどんどんと落ちていく。
僕はハッとして、自分の足を強制的に動かし、急いでその場から駆け出した。

『っ･･･A！』

腕を必死になって伸ばすと、Aの手を掴むことができた。
しっかりと掴んだあと、上へと思いっきりAのことを引っ張った。
にぃちゃんの足が屋上の地面についたということが視認できたときには、僕はすごい浮遊感に包まれていた。
驚いたような顔をしたあと、僕の名前を泣きながら呼ぶにぃちゃんが見えた。

『ごめん･･･A･･･』

泣かせてしまったことにどっと後悔が押し寄せてきたが、守れたことが何よりも嬉しかった。
このままだと死んじゃうとか、もう皆に会えないとか、実際なんにも考えてなかった。
僕が無事かどうかなんてどうでもよくて、ただAのことを守れればそれでよかった。
Aと出会ったのは、きっと助けるのが運命だったからなのかもしれない。
そう考えたら、あのときDMを送ってもらえて嬉しかった。
少しずつ意識が薄れていくのを感じた。
ねぇ、にぃちゃん？
僕ね･･･

『君のことを･･･好きになれて･･･よかった･･･』

僕は泣きながら笑顔を作った。
そこでプツンと僕の意識はなくなった。

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