【utit】坂田さん、私、坂田家なんですが、すみません。今日、死にますね【tnrnskt.】

死ぬまで残り１３分 ページ18

撫でている僕の手をにぃちゃんはギュッと握り、今にも泣きそうな顔をして僕のことを見た。

「坂田さんはなんでこんなにも私の話聞いてくれるんですか？リスナーだとしても、赤の他人なんですよ？」

『それは･･･』

なんでと言われたら、君が好きだからって言いたくなる。
好きだって言えたらどれだけ楽なんだろうか。
でも僕は言えない、言っちゃいけないんだ。
にぃちゃんは大切なリスナーだから。
そしてなにより、周りの目が怖いから。
誰かに見られでもしたら、僕も色々と言われるが１番言われるのはきっとにぃちゃんだろう。
だから、にぃちゃんのためにもこの僕の気持ちは言ってはいけない。

『･･･庇わなきゃいけない気がしたから、かな？』

実際これも事実だから、嘘はついていない。
だけど、にぃちゃんは僕の言葉を聞いてもっと悲しそうな顔をする。

「理由になっていませんよ･･･そんなの･･･」

理由はこれだけで十分だと思っていたが、にぃちゃんは不十分のようだった。
僕はにぃちゃんの手をゆっくりと下ろすと、じっとにぃちゃんのことを見た。

『救いたいから。理由なんて、それだけで十分やないの？逆にそれ以外思い浮かばへんもん』

にぃちゃんに向かって笑うと、にぃちゃんは驚いたような顔をした。
なんで泣きそうになっているの。
君のことをさっきどうやって笑わせていたのか、僕は忘れてしまった。

死ぬまで残り１２分→←死ぬまで残り１４分

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す