【ｋｚ】悪女になったあたしの日記

悪女と逃走劇 ページ17

七鬼くんの手を掴み走り出す。


「お、おい！」


「ごめんね、七鬼くん」


「逃げるよ」


足は速いほうだ。


だけど、いずれ追いつかれるだろうから撒く。


路地に入る。


近くにあったダンボールの山を倒す。


少しは足止めできたかな。


曲がり角を無意味に曲がる。


人通りの多い道に出て人混みに紛れ、電車に乗り込む。


途中で手が離れたけど七鬼くんはちゃんとついてきてくれた。


「これから、学校に向かうね。」


「遅刻じゃね？」


「うん、でも大丈夫。あたしに話を合わせてね。」


目的の駅に着いた。


そこで電話をかける。


「もしもし。一年の神室です。薫先生いらっしゃいますか？」


「もしもしお電話かわりました、薫です。」


「薫先生、神室です。」


「神室か。どうしたんだ？」


「実は、貧血がひどくて今、駅で休んでるんです。」


「大丈夫なのか？」


「はい。七鬼くんが付き添ってくれています。」


「七鬼が……。ちなみに遅れそうか。」


「そうですね。少し遅れそうですが、1時限目までには行きます。」


「分かった。無理はするなよ。」


「ありがとうございます。」

スマホをしまい、七鬼くんの方を向く。


「これで大丈夫でしょ。」


「まぁ、な。」


返ってきたのは微妙な返事。


「ま、学校行こうか。」


「そうだな。」

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