病んでしまった彼はもう救えない【ヤンデレ】

11. HAPPYEND　私は夢の中で生き続ける ページ13

HAPPYEND


「……ん」

懐かしい声が聞こえる。
暖かい光が差し込む。
私はそっと目を開けた。

「あ、A。おはよう」
「……香ちゃん？」
「んー？ そうだよー？ 香でっす！」
「ドヤ顔すんなって」

どやっ、という効果音をつけてもいいほどの迫力だ。
……どうしてだろう。香ちゃんに、クラスの皆に会ったのは久しぶりな感じがする。

「A？ どうしたの？」
「ん？ いや、会うのって久しぶりだっけ？」
「何言ってんの？ 毎日会ってるじゃん？」
「そう、だよね」

久しぶりなはずないよね。うん！

「Aー！ 早くこっちおいでー！」
「うん！ 今行く」

私は香ちゃんたちのいる方へ歩いていく。

「A、やっと起きたのか」
「あ、蓮」

……蓮、……蓮？
なにか、何かあったような……？
――だめだ。思い出せない。

「どうした？」
「それがさー、さっきからぼーってしてるんだよねー」
「うーん。クラスで何かあったんだけど思い出せなくって」
「んー。別に何もなかったけど？」
「そうかな……？」
「そうだよ！蓮の言うとおり何もなかったよ？ 気のせいなんじゃない？」
「気のせい……」

気のせい……。蓮や香ちゃんが言うとおり気のせいだよね！

「ほら、早く行こう？」
「うんっ！」

それから、何事もない、楽しい日々が続いていった……。

*

*

*

*

*

*

*

……これが夢の世界だということは誰も知らない。
私は夢の中で生き続ける。みんなと一緒に。

――ずっと、――ずっと。


*END

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