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抱きしめても抱きしめきれない大きな体が、私がどうにもできない風柱様の悲しみの大きさのように思えて、私はつかえて何も言えない喉をどうにか動かそうとする。


なのに。


「泣くなァ」


風柱様は、悲しくて切なくて、





言い表せない程優しい微笑みで、私の涙を指で拭った。




「風、柱様…っ」




____どうして、私はこんなにも無力なのだろう。



どうしていつも、風柱様に助けてもらってばかりなのだろう。



私も風柱様を、助けたいのに。




「十分だァ」
「っ!」




風柱様はいつかの様に、私を抱きしめた。



風柱様の温かさが、私の涙を止めない。




「水澪は、俺を助けてくれてらァ」




私は頭を横に振る。




何も出来ていない。



風柱様に、何も出来ていない。




私は、何も____。




「水澪がそばにいてくれりゃァ、もう、良いんだァ」




ほろり、と落ちた涙と共に、私は気付く。




そうだ、あの時の目は。




風柱様の視線に、含まれていたあの熱は。




ずっと前、鬼殺隊に入るよりも前にどこかで向けられた____




目の前に浮かぶ星が、あの日の丘で見た光景と重なる。




ああそうだ。あの目は、




「……Aがいてくれりゃ、いいんだ…」


_____Aと一緒に、見たかったんだ___





あの目は、俊太郎の目だ。




私を好いてくれていた、俊太郎の目だ。





それを思い出した瞬間、今までの風柱様の不思議な言動が、すべて繋がった。




(風柱様は……)








_____私のことを、好いてくださっているのだ。

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ゆうきりさ(プロフ) - Mashiro Lioさん» Mashiro Lioさん、ご指摘・コメントありがとうございます!きっと作者だけでは気づかなかったので本当にありがとうございました!最終決戦、私自身も書くのが楽しみで仕方ないです!待っていてくださいね! (2020年9月25日 22時) (レス) id: a3d7f766b2 (このIDを非表示/違反報告)
Mashiro Lio(プロフ) - 指摘失礼いたします。88話にて、雫波紋突きは伍ノ型ではなく漆ノ型ではないでしょうか。柱稽古なので、ああそろそろ最終決戦だ……!とドキドキしながら読んでいます。作者様が最終決戦をどのように描くかが、とても楽しみです……。ご無理のないよう頑張ってください! (2020年9月24日 22時) (レス) id: 97626e8ffb (このIDを非表示/違反報告)
ゆうきりさ(プロフ) - 鮭大根さん» 鮭大根さん、コメントありがとうございます!面白いと思って頂けてすごくうれしいです!更新待っていてください!!コメントもらった作者頑張ります!←メッチャうれしいんです笑!! (2020年9月13日 16時) (レス) id: a3d7f766b2 (このIDを非表示/違反報告)
鮭大根(プロフ) - ウェーイ( ・∇・)面白いです!!これからも頑張って下さい!!応援してます!!続き楽しみ〜(´-ω-`)ムフフ (2020年9月13日 9時) (レス) id: ef1af2de4e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆうきりさ x他1人 | 作成日時:2020年9月2日 18時

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