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「三つ目の理由を言う前に、…入っていいよ」


お館様の声に続いて、背後の襖が開く音がして、私は振り向く。


「!」
「失礼致します」


___風柱様


私が驚いている間に、風柱様は私の隣まで歩いてきて、畳の上に正座した。


「実弥にはもう伝わっているかな」
「はい」
「それなら話が早い。実はね、これから少しの間、実弥にAへ稽古をつけてほしいんだ」
「!」


私が更に驚いている横で、風柱様はそうだ、とでもいうように頷いている。


「Aは、実弥との合同任務で随分と成長したからね」


(お館様…そんなところまで見て下さっているなんて)


私はお館様の温かさに心の中で感謝する。

お館様には静かな微笑みを崩さぬまま、「実弥、良いかな」と問うた。


「お館様のお望みであれば」
「ありがとう。Aも、いいかい」
「もちろんでございます。このような機会を設けて頂けるなんて、光栄の限りです」


お館様は、ゆっくりと頷いた。


「Aも実弥も、今日は来てくれてありがとう。下がっていいよ」
「失礼致しました」


私と風柱様は同時に言うと、素早く退室した。


___________


最後の任務の日とは違い、小雨が見事な紫陽花に落ちる庭で、私は風柱様に「よろしくお願いいたします」と頭を下げた。


「よろしくなァ」


風柱様はそう言って微笑みを私に向けた。お館様との会話での緊張が解けておらず固まっていた自分の表情が、ようやく柔らかくなるのを感じる。

すっかり緩みそうになる自分の気持ちをとどめて、私は「風柱様」と真面目な声で呼んだ。


「稽古と言うのはどう行われるのでしょうか?」
「俺の屋敷に来い。今日の稽古すんぞォ」
「!」
「稽古つけるってことはなァ、少しの間継子になるようなもんだァ」


「みっちりしごいてやらァ」、とにやりと笑んだ風柱様に、私は「はい!」と返事をした。

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ゆうきりさ(プロフ) - Mashiro Lioさん» Mashiro Lioさん、ご指摘・コメントありがとうございます!きっと作者だけでは気づかなかったので本当にありがとうございました!最終決戦、私自身も書くのが楽しみで仕方ないです!待っていてくださいね! (2020年9月25日 22時) (レス) id: a3d7f766b2 (このIDを非表示/違反報告)
Mashiro Lio(プロフ) - 指摘失礼いたします。88話にて、雫波紋突きは伍ノ型ではなく漆ノ型ではないでしょうか。柱稽古なので、ああそろそろ最終決戦だ……!とドキドキしながら読んでいます。作者様が最終決戦をどのように描くかが、とても楽しみです……。ご無理のないよう頑張ってください! (2020年9月24日 22時) (レス) id: 97626e8ffb (このIDを非表示/違反報告)
ゆうきりさ(プロフ) - 鮭大根さん» 鮭大根さん、コメントありがとうございます!面白いと思って頂けてすごくうれしいです!更新待っていてください!!コメントもらった作者頑張ります!←メッチャうれしいんです笑!! (2020年9月13日 16時) (レス) id: a3d7f766b2 (このIDを非表示/違反報告)
鮭大根(プロフ) - ウェーイ( ・∇・)面白いです!!これからも頑張って下さい!!応援してます!!続き楽しみ〜(´-ω-`)ムフフ (2020年9月13日 9時) (レス) id: ef1af2de4e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆうきりさ x他1人 | 作成日時:2020年9月2日 18時

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