*74 ページ26
「着きました」
その声と共に、目隠しが外された。ゆっくりと目を開けると、そこはどこかの廊下で、前には何枚もの襖が続いている。
(ここが鬼殺隊本部…大きなお屋敷…)
私がぼうっと考えていると、隠の人が「連れてまいりました」と唐突に声を上げた。
「入っていいよ」
柔らかい声が襖の奥から聞こえる。
(お館様…!)
瞬間的に理解した私は、隠の人が差す襖を丁寧に開けて、「失礼致します」と頭を下げて作法道理に一度立ち部屋の中へ入り、もう一度座って襖を閉めた。再び頭を下げる。
「Aだね?」
「はい。この度はお屋敷に参らせて頂けて嬉しい限りでございます」
「Aは教養のある子だね。顔を上げてごらん」
私は恐る恐る顔を上げる。目に入った紫色の痣に、一瞬呼吸が止まるのを感じたが、すぐに平静に戻る。
「今日Aを呼んだのには理由がある。A、君は数日前、次期上弦の鬼と接触したそうだね?」
「その通りにございます」
「その件にも通ずることついて、柱たちと話していることがある」
___来た。
「何かわかるかな」、と静かに問うたお館様。私は短く息を吸って、「最近…隊士の質が落ちてきているというお話でございましょうか」と答えた。
「残念だけど、それじゃない」
「え」、と驚いて声を漏らすと、お館様は微笑みを崩さないまま「A、それではないと聞いた今、何かわかるかな」と再び問うた。私は少し考えてから言った。
「最近、私が感じていただけなのですが…鬼達の活動が活発化していることでしょうか?」
「そうだ。やはりAは賢いね」
「見に余るお言葉です」、と頭を下げる。お館様は「それで、本題なんだけどね」と話を切り出した。
51人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆうきりさ(プロフ) - Mashiro Lioさん» Mashiro Lioさん、ご指摘・コメントありがとうございます!きっと作者だけでは気づかなかったので本当にありがとうございました!最終決戦、私自身も書くのが楽しみで仕方ないです!待っていてくださいね! (2020年9月25日 22時) (レス) id: a3d7f766b2 (このIDを非表示/違反報告)
Mashiro Lio(プロフ) - 指摘失礼いたします。88話にて、雫波紋突きは伍ノ型ではなく漆ノ型ではないでしょうか。柱稽古なので、ああそろそろ最終決戦だ……!とドキドキしながら読んでいます。作者様が最終決戦をどのように描くかが、とても楽しみです……。ご無理のないよう頑張ってください! (2020年9月24日 22時) (レス) id: 97626e8ffb (このIDを非表示/違反報告)
ゆうきりさ(プロフ) - 鮭大根さん» 鮭大根さん、コメントありがとうございます!面白いと思って頂けてすごくうれしいです!更新待っていてください!!コメントもらった作者頑張ります!←メッチャうれしいんです笑!! (2020年9月13日 16時) (レス) id: a3d7f766b2 (このIDを非表示/違反報告)
鮭大根(プロフ) - ウェーイ( ・∇・)面白いです!!これからも頑張って下さい!!応援してます!!続き楽しみ〜(´-ω-`)ムフフ (2020年9月13日 9時) (レス) id: ef1af2de4e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆうきりさ x他1人 | 作成日時:2020年9月2日 18時